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続・遊園地に行こう(岳日、鳳宍)

やって来たのは、大きすぎず小さすぎずの手ごろな遊園地。オープンしたばかりで
色々なキャンペーンをやっているらしく、岳人の持っていた無料券もそのキャンペーンによるものらしい。

「すっげぇ!やっぱ新しいだけあって綺麗だな!!」
「向日さんはしゃぎすぎですよ。子供じゃあるまいし」
「ねぇ日吉、ここのお化け屋敷ってなかなか怖いって評判らしいよ」
「本当か!?」
気だるげだった日吉もお化け屋敷という言葉を聞くと途端にうきうきした様子を見せる。
なんだかんだ皆遊園地に来るのは楽しみだったようだ。

「なあ、いきなりお化け屋敷行くのもあれだしとりあえずこれ乗んね?」
そう宍戸が指差したのはジェットコースター。遊園地の花形
ジェットコースターは、さすがの人気で行列ができている。
「人多いしすぐ乗れなさそうじゃん!それよりあれにしようぜ!」
向日が指差したのはバイキング、大きな船が前後に揺れるあれだ。
幸いそちらには余り人も並んでいなかったため最初はそれに乗る事にした。


「ふうーっ、楽しかったな!!」
向日はぴかぴかと笑っているが、日吉と宍戸はすでに疲れた顔をしている。
「大丈夫ですか?宍戸さん」
「あ、ああ…大丈夫だ。思った以上に凄かったな」
「…ですね」
そういって鳳も苦笑する。新しいだけあってクオリティもなかなかだった。
「じゃあ次、コーヒーカップ乗りませんか?あれならそんなに激しくないだろうし」
「おう!そうしようぜ!」



「…うぇっ。」

コーヒーカップに乗ったはいいものの、向日となぜかテンションがあがってしまった日吉が
思いっきりカップを回転させたため想像以上の回転で宍戸は完全に酔ってしまった。
「これくらいで落ちるなんて、宍戸さんも所詮この程度ですか。レギュラーの座は絶対に俺が奪いますよ。…下克上だ」
「あほ、ちょっとは心配しろよ。おい宍戸!ちょっと休むか?」
「ああ…悪い…」

近くにあったお店でレモンサイダーを飲んだことによって少しばかり落ち着いた様子の宍戸。
「宍戸さん、大丈夫ですか?」
宍戸はゆっくりと頷く。先程まで青かった顔も今ではすっきりとして僅かに赤みを取り戻している。
そんな宍戸に安心したのか向日と日吉は無理するなよ!と言い残し二人でお化け屋敷に向かってしまった。

「…俺たちもどっか行くか?」
「…宍戸さんが大丈夫なら!」

そういって向かったのは、メリーゴーランド。遊園地定番のそれはいつも変わらず人々を惹きつける。
二人が乗り込むと、ゆっくりと回転を始めた。メリーゴーランドは外の騒がしさを忘れさせ一時、
夢のような世界へ引き込んでくれる。なんだか不思議な感覚に二人は童心に返ったような気持ちになった。


「ふぅ、思ってたより楽しかったですね」
「だな。正直こんなに楽しいと思ってなかったわ。」
そういって宍戸がけらけら笑う。日の傾き始めたこの時間。差し込む夕日に照らされた
宍戸の笑顔は息を呑むほど綺麗で。鳳は思わず見とれた。

「夕方の遊園地って…なんか不思議な感じですよね。」
鳳が呟く。夕方の遊園地はどことなく寂しげでセンチメンタルな気分になる。
昼間の明るさを名残惜しむかのようにライトアップされていくアトラクション。不思議な光景だった。

「長太郎、好きだよ」
「うん、知ってます。俺も好きです」
「知ってる」
何気なくそんな会話を交わした。無意識に出た言葉だった。今言っておかないといけない…
なんとなくそんな感じがした。感傷的になってしまっただけかもしれないが、怖かった。
今引き止めないと長太郎が何処かに行ってしまうかもしれない そう思った。

「おーい、宍戸ー!鳳ー!!」
向こうから向日と日吉が駆けてくる。日吉の顔が心なしか呆れ顔なのはきっと気のせいではないだろう。
「いい所だったのに、邪魔しないでくださいよ向日さん」
「悪い悪い、でもそろそろ帰らねぇとだから最後にあれ乗っておこうとおもってよ!」

それは観覧車。遊園地の定番であり恋人にも人気のそれ。暗くなると幻想的な世界を見下ろせる。

宍戸は思った。来て良かったと。今までの不安も少しだけ消え去ったような気がする
「向日、日吉、ありがとな!」
色んな意味で。心の中でそんな事を思いながら観覧車に向かって足を進めた。
楽しい一日は、あともう少しだけ続きそうだ---



こんなに延ばすつもりなかったorz
岳日もいつか書けたらいいね


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あきゅろす。
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