[携帯モード] [URL送信]

Original Story -short-
仮面


昔から、仮面を被ることが得意だった。
周りの望む「私」という存在を演じることが得意だった。


いや、得意ではない。
そういった習慣ができてしまっていた。


「○○さんって、こんなイメージある」
「○○さんは真面目だよね」


そんなイメージを伝えられると、その度に新しい仮面を作る。

いつの間にか自分の本当の顔を忘れて、自分の周りにはたくさんの仮面が転がっている。


たくさんの仮面を使い分けて、毎日を暮らしていた。


そうしなければ、自分という存在を確認できなかった。

相手が望む自分になれば、相手が自分を認めてくれる。
そこから逸れれば、相手は自分を必要としなくなる。

そう思い、生活していた。


だからこそ、日々が疲れきっていた。


もし、そんな日々の中で、日常の中で

「自分の前では演じなくていい。
何を見ても受け入れるから。
嫌いになんて、ならないよ」

そう言ってくれる人が現れたなら……。
体を、精神を、どれだけ休めることができるのだろう……。


逆に、そういった人が現れないと、日々の小さな疲れが積もりに積もって、どこかで雪崩を起こす。

我慢の限界が来る。

言いたくもないことや、言うつもりのなかったことを言ってしまう。

それは、私にとって悲鳴だ。
『助けて』という、悲鳴。

その時は、怒り狂っているかもしれない。
無表情かもしれない。
むしろ、今までにないくらい落ち着き、笑顔なのかもしれない。

でも、本当は、心の中で泣いているんだ。

そんなこと思っていないのに、言うつもりじゃなかったのに、と。









ねぇ。










君が見ている相手は、本当に笑っている?

本当は、苦しんでいない?

それに気付けるのは、その苦しみから助けられるのは、君だけかもしれないよ?






[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!