Original Story -short-
再会
「よ、久しぶり」
「んあ?なんだ、お前か久しぶりだな」
「んだよー、もっと驚けよ」
「驚いてる驚いてる」
「んな感じに見えねーよ」
「あー、それは悪かったな」
「悪いと思ってないだろそれ」
「バレた」
「バレるわ、そりゃ。
幼馴染だぞ?」
「だよなー」
「まあ、いいや。
それよりお前、今どうしてんの?」
「んー?普通に会社員やってまーす」
「夢のある社会人やってねぇのかよ……」
「無理のない生活送れれば問題ないよ。
お前は?そっちの生活どうなの?」
「俺?毎日楽しいぜ?
いる人みんな明るくてさー。
たまに、悪い奴もいっけどな」
「悪い奴って……そういうのは、違うとこ行くんじゃねえの?」
「根はいいやつなんだよ。
見た目が悪いってだけ。
すっげー暴走族みたいな格好してる兄ちゃんもいんだけど、そういう格好で、変な奴らが入らないようにしてたんだーって、笑いながら教えてくれたぜ。
警察とも仲良くってよーって」
「へぇ……そういう奴もいんだな」
「今の生活ってさー、自分の視野がどんだけ狭かったか、思い知るんだよなー。
年齢も性別も趣味も生活方法とかも、いろいろと違う人が集まってるから、すっごい勉強になる」
「……それはよかったな」
「おう!
あ、そういやお前、高校の時に好きだった子、どうした?
告ったのか?」
「あー………あれか?
告った告った、んで盛大に振られた」
「はははっ、やっぱりかー」
「っ!
やっぱりってなんだよ!」
「だってあの子、好きな人いたらしいからさ」
「そういうことは先に言えよ……」
「俺の優しさだよ(ハート)」
「そんな優しさいらねーっての!
つか、語尾にハートつけんな気持ち悪い」
「うーわ、ひでーなー!
俺、傷付いちゃうなー……」
「おーおー、傷付いとけ傷付いとけ」
「幼馴染に対して、酷い仕打ち!」
「………………ぶっ…はは、はははっ!」
「……あははははは!」
「はは、っ…あーもう、笑いすぎて腹いてー!」
「ほんと、ここまで馬鹿みたいに笑ったの久しぶりだわ」
「やっぱ、お前と話すの楽しいわ」
「それはそれは、光栄です」
「また笑わそうとすんな」
「はははっ、ごめんて」
「俺は寛大だからな、許してやる」
「どーも」
「………」
「………」
「………」
「なぁ」
「ん?」
「ちゃんと食ってるか?ちゃんと寝てるか?
酒はともかく、タバコ吸ってないか?」
「お前は俺の親か」
「心配ぐらいさせろよ」
「はぁ………ちゃんと食ってるし、寝てるよ。
酒は多少飲むけど、タバコは吸ってねーよ。
そんな心配しなくていいよ。
しなくていいからさ…………」
「………」
「しなくていいから…………。
…………………………ちゃんと、成仏してくれよ…………。
お前が、心配してくれてるのは嬉しいけどさ、お前の後悔だとか、心残りにはなりたくねぇよ……。
早くお前の次の幸せを掴んでくれよ………」
「………」
「お前が来たこと、すっげー嬉しかった。
でもその反面、まだお前の心残りになってるのかって、悲しくなった………。
俺はもう大丈夫だから……」
「……ごめんな、お前のそんな顔見たくて来たわけじゃないんだけどさ……。
今日は報告しに来たんだ」
「報告…?」
「そ、報告。
この度、成仏することになりました!!っていう報告」
「っ!!!
じゃあ、お前……」
「あぁ……もう、後悔はない!
上から、お前も家族も、ちゃんとした生活してるの見てた!
俺のことばっかりじゃなくて、ちゃんと前見て生活してるのがわかった!!
だから、もう悔いはない!
そりゃ、高3の卒業間近に病死した、なんて時点で後悔はめっちゃあるけど、そんなんは気にしてないし!
今回はお前にその報告しに来たんだよ!
お前が………一番俺のことを心配してくれてたから……」
「そうか……そうか、よかった………。
お前も、ちゃんと前見てくれたのか…よかった……」
「心配かけて、悪かったな」
「本当だよ、馬鹿野郎が」
「その調子その調子。
お前が泣いてるのなんて、見たくねーよ」
「ははっ、ばーか」
「ははははっ、最後にお前とこうやって笑えてよかったよ」
「おう、俺も、そう思う」
「………んじゃ、そろそろ行くかな」
「ちゃんと幸せになれよ」
「お前こそ。
…………っと、そうだ。
お前、俺の特徴、ちゃんと覚えとけよ?」
「特徴?その両目の泣き黒子のことか?」
「そうそう!
いいか!絶対忘れんなよ!!!」
「………?
おう、わかった」
「よしっ、んじゃあな!!
行ってくる!!!」
「…………行ってくるって……………。
どっか出掛けるみたいに言いやがって……」
・・・・・・・・・・・・・
バタバタバタバタバタバタッ!!!
バンッ!!
「先生!!!産まれたって!!!!」
「病院ではお静かに」
「あ、す、すいません……」
「この奥にいますよ」
「ありがとうございます!」
「あ、あなた。
元気な男の子よ」
「男の子か……抱っこしても、いいか?」
「えぇ、まだ首が座ってないから、気を付けてね」
「あぁ……よいしょ…………っと………」
(え、これって………)
『お前、俺の特徴、ちゃんと覚えとけよ?』
『いいか!絶対忘れんなよ!!!』
「可愛いわよね、両目に泣き黒子なんて」
(あぁ、そうか、それで………)
『よしっ、んじゃあな!!
行ってくる!!!』
(そういう、ことだったのか……)
「………?
あなた?どうしたの?
泣いてるけど………」
「え……あぁ、いや、なんでもないよ……。
無事に産まれてよかったよ……」
「そうね、二人で元気に、明るくていい子になるように育てていきましょう?」
「あぁ、そうだな……この子が、幸せになるように…」
バカだな、また俺のところに来るなんて……。
どんだけ俺のこと大事なんだか…。
まあでもとりあえず………。
おかえりなさい。
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