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Wonderful Wonder World
私も守りたい(ビバルディ,ボリス)





…………………………………

「ねぇ、アリスー。
ほんとに俺も行かないとダメなの?
行きたくないんだけど……」

「あなたにも招待状が届いたんだから、しかたないでしょう?
もうここまで来たんだし、諦めなさい」


ここは、ハートの国のハートの城の領土。

私とボリスは、ハートの城の女王にお茶会に招待された。

なんでも、珍しい茶葉が手に入ったらしい。
こういったことで私がお茶会に呼ばれることはよくあることなのだが、今回は何故かボリスも来るようにと書いてあった。
それを聞いた時のボリスは「なんで俺が」と文句を言っていたのだが「とびっきりの魚料理を用意しておく」と書かれていたので来ることにしたらしい。

文句を言いながらも、魚料理が気になるのだろう。
きちんと来るボリスを、少し可愛いと思ってしまう。


城門に着くと


「アリス様、チェシャ猫様、ようこそいらっしゃいました。
陛下がお待ちですので、ご案内いたします」


私達の案内役なのか、メイドさんが待っていた。



・・・・・・・・・・・・・・・・


「陛下、アリス様とチェシャ猫様をお連れしました」


少し開けた場所に着くと、メイドさんが声を掛け一歩引く。


「よく来たな。
さあ、椅子にお掛け?」


姿は見えないが、少し奥からビバルディの声がする。


薔薇の壁の奥に入り、唖然とする。


「にゃにゃ!お魚だ!!」


ボリスが目をキラキラさせて横で喜んでいる。
それもそのはず。

庭園に用意されたテーブルの上には、お茶会というよりも、食事会と言ってもいいのではないと言うほど、魚料理が並んでいた。
多少は肉料理やサラダが並んでいるが、本当に少しだ。


「アリス?何をしておる。
早く座らぬか」


呆然と見ていると、ビバルディから声を掛けられた。


「あ、ごめんなさい。
それよりもビバルディ、この魚料理の量は……。
私、お茶会って招待状が来た気がするんだけど……」

「わらわとお前は茶会にしようと思ったのだが、皆で食べた方が楽しいと思ってな。
急遽、食事会にしたのじゃ。
どうだ猫?
最高の魚を使って調理させたのだが」

「すっごいよ女王様!
こんなにお魚料理並んでるの、初めて見た!!
おっさんとこじゃ、こんなに食べれないもんね!」

「ふふ、そうかそうか。
さあ、遠慮せずお食べ?
アリス、お前もじゃ」


ボリスは本当に嬉しそうにし、ビバルディが食べていいと言った途端、小皿にこれ以上乗らないのではないかと言うほど乗せて食べ始めた。
そんなボリスを、普段では見ることのできないほど可愛らしい微笑みでビバルディは見ている。

いろいろと言いたいことはあるのだが、無理だと思いボリスの向かいの席に座り、食事を皿に取り分ける。


「肉料理もあるから、遠慮なくお食べ。
パンやライスが必要であれば持ってこさせるからね?」


食べ始めた私達を見てビバルディは声を掛ける。
普段『首をはねろ』と言う口調からは想像も付かないようなとても優しい声。
彼女もリラックスをしていることに、安心する。


カチャカチャ


しばらくナイフやフォークの音が庭園に鳴る。


「この料理すごいわね。
魚の生臭さが一切ないもの。
ビバルディ、後でシェフの人に教えてもらうことってできるかしら?」

「あぁ構わないよ。
シェフには伝えておこう」


その声と同時にメイドさんが一人離れる。
恐らく今のことを伝えに行くのだろう。


「猫や、美味しいか?」


ビバルディが、一心不乱にと言ってもいいのではないかというほど黙々と魚料理を食べているボリスに声を掛ける。


「美味しいよ、女王様!
さすがお城の料理だよね。
遊園地の料理が不味いわけではないけど、やっぱりお城とは違う」


口の周りにソースを付けながらボリスは答える。
魚ばかり食べて、一緒に調理された野菜を食べていないのが少し心配だが、ビバルディはそんなこと気にしていないのか「そうかそうか」と笑っている。

そこで私はふと思ったことをビバルディに聞く。


「そういえばビバルディ。
ペーターはいないの?
私が来るって分かっているだろうから、いると思っていつでも殴れる準備していたんだけど……」

「にゃははは、さすがアリス」

「あぁ、あやつなら仕事だよ。
サボることなんて出来ない、重要な仕事を命じておいた。
散々騒いでいたが、お前達が来る1時間帯前に出て行ったよ」


こちらからしたら、静かに食事ができていいのだが、少し可哀想だと思ってしまう。
だが、いたら鬱陶しいと思うのだろう。
ビバルディの采配に感謝しつつ「そうなんだ」と返し、食事を続ける。


しばらく食べると、たくさんあった魚料理はなくなり(ほとんどがボリスが食べていたが)、招待状通りのお茶会が始まった。
少しお腹がキツイが、さっぱりした紅茶とお茶菓子で、意外と入っていった。

お茶を飲んでひと息つき前を見ると、ボリスの様子がおかしいことに気付く。


なんというか…………全体的にふにゃんとなっている。


「ボリス?どうかしたの?」

「んんー……?にゃにがー…?」


受け答えもしっかりできていない。


「ふふ、アリス、大丈夫だよ。
紅茶にマタタビを混ぜただけだからな」

「マタタビって………じゃあボリスは酔ってるの?」


きっと、この状態を見たかったのだろう。
彼女はボリスに腕を伸ばし、頭を撫でている。
ボリスも誰に撫でられているのかなど、気にすることもできないようで、大人しく撫でられている。

真っ赤なドレスにピンクの頭。
とても目が痛くなる色の組み合わせだが、そんなこと気にならないような、こちらも和んでしまうような雰囲気がある。


そう思った途端、時間帯が夜の時間帯に変わった。
お茶会の約束は二時間帯だけ。

夜になったということもあり、帰りたいのだが………ボリスがこの状態では帰るに帰れない。


「時間帯が変わってしまったな……。
約束の時間帯は終わってしまったが、猫がこの状態では帰れないだろう。
今回は城に泊まっていくとよい」


計画的に行ったのではないかと思うほどのタイミングだが、この言葉に今回は甘えよう。
幸い、しばらく仕事は入っていない。


「ありがとう、ビバルディ。
お言葉に甘えさせてもらうわ」

「それじゃあ、部屋まで案内させよう」


そう言うと、先ほど庭まで案内をしてくれたメイドさんが出てきた。
今回は、彼女が私達の案内役なのだろう。


「そうじゃ、アリス。
お前と猫の部屋は分けたほうがいいのか?」


……………彼女は、何を勘違いしているのだろう。


「ビバルディ、勘違いをしているみたいだけど、私とボリスはそういう関係じゃないわよ」

「そうなのか?
では、2部屋用意しよう」

「えぇ、ありがとう」

「構わないよ」


ビバルディのお許しをもらったところで、次の問題だ。
この酔っ払った猫をどう部屋に連れて行こう。
兵士の人に頼んでもいいのだが、間違ってボリスが銃を取り出しても困る。


「ボリス!
ビバルディが部屋で休んで行きなさいって。
歩ける?」


声をかけながらボリスを立たせ、腕を肩に回す。
自分よりも体がしっかりとした、背の高い人を持つのは相当力がいる。
反対側から兵士さんが手伝ってくれる。


「ふにゃ〜。
アリスいい匂いがする」

「そんなこと言ってないで、ちゃんと立って歩いて頂戴」



・・・・・・・・・・・・・・・・・

「疲れたわ…………」


ボスンッ



ボリスをなんとか隣の部屋まで運び、自分に用意してもらった部屋に入り、なんの躊躇もなくベッドに倒れ込む。

自分より一回りも大きい人間を運ぶのはとても疲れる。

メイドさん達が手伝ってくれようとしたのだが、ボリスが離れず結局ほとんど一人で運んだのだ。


「………………。
あ、やばい、寝そうだわ……。
とりあえずシャワー浴びて…」


と思いつつ、微睡んでいると


コンコン


扉がノックされた。


「はーい……」

「アリス様、陛下がお呼びです」

「ビバルディが?」

「はい、お部屋でお待ちしておりますので、ご案内致します」


なんの用だろう。
さっきまで一緒にいたのに……。



・・・・・・・・・・・・・・

コンコン


「陛下、アリス様をお連れしました」

「あぁ、お入り」


ビバルディの声はとても柔らかい。
これは、リラックスしている声だ。


ガチャ


「どうしたのビバル………ディ……………?」


扉を開けた先に広がっていたのは、ぬいぐるみの山だった。


「ビバルディ、どこ?」

「ここにおる。
こちらへおいでアリス?」


行ってみると、猫のぬいぐるみに囲まれたビバルディの姿があった。


「どうしたのこれ?」

「この前、お忍びで買い物に行った時に売っていてな。
いろんな種類があるというので全て取り寄せたのじゃ。
可愛いだろう?」


ぬいぐるみを抱きしめながらビバルディは言う。

可愛い。
確かに可愛いのだが……


(今のビバルディの方が可愛いわ)


綺麗で、怖さがあり、そして可愛さがある。

その可愛さを知っている数少ない人間に自分が入っていると思うと、優越感がある。


この可愛さを守りたい。
怖いばかりではない、この可愛さを。


彼女が、愛して、憎んでいるあの王からも。


「ねぇ、ビバルディ?」

「ん?なんじゃアリス?
そんなところに立っていないで、こちらへおいで?」


ビバルディの元に歩きながら問う。





私にもあなたを守らせて?
































……………………………………
やっっっっっっと終わりました!!!
長々とグダグダとした文章申し訳ありませんでしたー!!

ここまで読んで頂き、本当に感謝です(´;ω;`)

どうしても、ビバ様とボリスの絡みを書きたくて……っ!

楽しんでいただけたら幸いですっ

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