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夢小説(トリブラ)
世界の中心(教授)

漆黒の闇を封じたような長い黒髪と怜悧な顔

執事めいた優雅な仕草で手を掲げ謳うように呟く機械仕掛の魔道士(パンツアー・マギエル)と自身を称した男の手に、禍々しい輝きを滴らせた五芒星(ペンタグラム)が浮かび上がった。

それを視界に認識した時には、呆気なく体を飛ばされ背中から壁に叩きつけられていた。




一番に目に入ったのは真っ白な天井。
鼻につくような薬品の香り。

ズキリと痛む体に顔を歪め身を起こせば、自分の状況が嫌なほどわかって気分が悪くなった。

カテリーナ様に危害を加えようとしたあの男

「イザーク・フェルナンド・フォン・ケンプファー…機械仕掛の魔道士か…。」

あの方の敵、薔薇十字騎士団(ローゼン・クロイツ・オルデン)の幹部

過信していたワケではないけど、早々に病院送りにされるとは思わなかったな…

「痛ッ…」

体中に巻かれた包帯
ギシギシと軋む体
こんな調子ではしばらく動けそうにない。

ため息をついたところでようやくこの部屋にもう一人いる事に気づいた。

床にまで書類を撒き散らし疲れ果てたようにベッドの端丁度あたしの膝辺りに頭を乗せたまま寝息を立てている。

見覚えのある黒褐色の髪と黒い僧衣。
それが誰であるか認識した途端、アサヒの口元に笑みが浮かぶ。

「教授、風邪引きますよ…」

トントンと軽く肩を叩けば、小さい呻き声と共に目を開く。何時もは知的な色を宿す碧眼が今は眠たげな光を宿していた。

「おはようございます。教授」

にこりと笑えば、教授も眠たげな顔で笑う。

「気分はどうだい?アサヒくん」

「良いですよ。教授は、お疲れみたいですね。」

「いや、すまない。僕とした事が何時の間にか眠ってしまったようだ」

ガシガシと髪をかき乱しながら、教授は笑う。

「ずっといて下さったんですか?」

床に散らばった書類を集める背中にそう問えば教授は少し眉を寄せた。

「勿論…と答えたいところだが先ほど来たばかりだよ。忙しくてね…。」

ベッドにも散らばっていた書類を見れば何やら小難しい内容が書かれている。

「大学のレポートの採点だよ。」

欠伸をかみ殺しながらそう答えた男にアサヒは申し訳なさそうに笑う。

「忙しいのに…すみません。」

「…君が病院に運ばれたと聞いた時には心臓が止まるかと思ったよ。」

「あたしもまさか、即刻でのされるとは思ってなかったです…ヤバいと思った時には壁に叩きつけられていました。」

力なく笑えば、教授がため息をつく。

「アサヒくん、あまり心配させないでくれ。僕の体が持たないよ。」

くしゃくしゃとアサヒの髪をかき乱すように頭を撫で教授は笑う。

自分よりずっと疲れた顔をしている彼は、忙しい中時間を作って来てくれたのだろう。病室で仕事をしてまで…

「教授、風邪引いちゃうと思って起こしましたけど…もう少し寝た方が良いですよ?」

「…しかし、今帰ると次いつ来れるかわからないからね。」

遠まわしに帰りたくないと言われ、不謹慎だと思いつつ…アサヒは嬉しいと思った。

しかし、教授が過労で倒れたら困る。

どうにか良い方法はないかと頭を巡らせアサヒは、ぽんと手を打った。アニメなら頭の上で電球が光ったかもしれない。

「教授、どうぞ。」

布団をめくり体を端に寄せる。

ぽんぽんと布団を叩けば、教授は額を抑える。

「教授、枕使いますか?あたしなくても大丈夫ですよ。」

枕まで置き、準備万端と笑ったアサヒに教授は深い深いため息をもらした。

悪意がない分、質が悪い。

「あ…もしかして狭いですか?」

申し訳なさそうにベッドの端に寄るアサヒに、こちらの苦悩は届いてないのだろう。

「教授、大丈夫ですよ。ちゃんと起こしますから。」

さあ、どうぞ。

満面の笑みでそんな言葉を呟かれれば色々とこちらの決心が揺らぐ。

「いや、アサヒくん。気持ちだけ受け取っておくよ。」

にっこりと笑った教授の顔が、先ほどより疲れているように見えてアサヒは不思議そうに首を傾げるばかりだった。





世界の中心にいる少女は無知で残酷。

自覚がないから質が悪い。

こちらの心情など理解もせずに、とんでもない爆弾を投下してくる。

それさえも、彼女の魅力だと理解はしているのだけれど…

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



オチがお決まりパターンに…。
アンケートをいただいた教授夢
続編では、ない気もしますが…ご容赦を(汗)繋がってるのはタイトルだけですねぇ…(笑)


アサヒさん、お付き合いありがとうございました。

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