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夢小説(トリブラ)
天使様の降臨(ギャグ風味?キャラ壊の為注意)


白い尼僧服を纏った天使をみた。
その背に白い羽根はなかったが、フワリと舞い上がった尼僧服の裾が舞い散る羽根のようだった。

次の瞬間、おとずれた衝撃。
ぐらりと揺れた視界に青い青い空が広がっていた。


「お手柄でしたね、アサヒさん」

パチパチと小さい拍手をするのは、すらりと伸びた長身の神父だ。冬の湖を思い出させる碧眼と光をはじく美しい銀髪を見ながらアサヒはため息をついた。
剣の館の一室、派遣執行官の待合室とかしたその部屋でもれた深いため息にアベルが眉を寄せる。

「どうしたんですか、アサヒさん。さては、お腹がすいてるんですね。良いですよ。私のクッキーを譲ってあげます。」

私のクッキーと称されたそれは間違いなく先ほどケイトがお茶受けにみんなで、と差し出したモノだ。

「…はぁ」

突っ込みの代わりに出てきたのは、またため息…。

「どうしたんですか?アサヒさんらしくないですよ。無事に犯人も捕まったし、何も問題ないですよ。」

励ますようなアベルの言葉が痛い。

剣の館に賊が侵入し、それを捕まえた。怪我人も損害もなし。問題ない、確かにそうだ。国務聖省としては。

「いやぁ、それが…賊を追いかけるのに夢中で…異端審問官踏みつけちゃって。」

「だ、誰を?」

アベルが少し顔色を変える。

「見た事ない顔だった。フィリポと呼ばれていた気がする…」

謝罪しながら走り抜けた時、傍らの特務警察(カラビエリ)が叫んだ言葉を思い返す。

「あのダルマウナギか!」

だるまうなぎ?

レオンの言葉に眉を寄せれば、よくやったとばかりにレオンがあたしの肩を叩く。

「あのオッサン小さいからな。仕方ねぇよ。」

「…飛び降りた時にもっと確認すれば良かった。まさか真下にいるなんて、死んでなきゃ良いけど…」

「心配すんな。アイツの渋とさは俺がよぉくわかってる。」

豪快に笑いながらあたしの背をバンバン叩いていたレオンが何かに気づいたようにピタリと動きを止めた。

「…おい、アサヒ。真下にいたのか?」

「そっ…そうだけど、な、何?」

「踏みつけたんだよな?」

「思いっきり…むしろ踏み潰したに近かったんじゃないかな…(汗)」

何なんだ。その深刻そうな顔は…
「それって、下着丸見えだったんじゃねぇ?」

ピシッと空気が凍ったのがわかった。

「アサヒ君、だからあれほど高い場所から飛び降りるなと言っただろう!」

「アサヒさん、なんておいしいサービスを!私ですら見たことないのに!」

「アサヒ…女性としてもっと自覚をだな…」

ぎゃあぎゃあとカラスのように騒ぎ立てる一同を沈めたのは、

ガチャンという甲高い音だった。

聞き慣れたその音を、平和すぎるこの場所で聞くのはかなり違和感がある。

「と、トレス…」

音の主を恐る恐る呼ぶと、

「問題ない(ネガティヴ)シスターアサヒ。」

という、平坦な声が返ってくる。

いや、何が?!

その両手に握られた戦闘大型拳銃 ジェリコM13を何に使うつもりなんだ。

「速やかに排除してくる。」

それって、

『今から殺してくるよ☆』
って意味かい?

「ちょっ、ストップ!落ち着け、トレス!」

「俺は人(マン)ではない機械(マシーン)だ。動揺など有り得ない。」

「そのお前が一番冷静さを欠いているから!」

「否定(ネガティヴ)卿の発言は意図が不明だ。」

「とりあえず、とりあえず武器を納めて話し合おう。」

「…俺とやる気か?ソテル・アシエル」

何でコードネーム?

「悪かった。すぐに謝ってくるから、心配しなくてもカテリーナ様には迷惑かけな…ってトレス、君そんな顔できたんだね。」

人形めいた端正な顔が呆れたような、もどかしいような…何とも表現し難い顔に崩れている。

レアだ。

「…とりあえず、行ってきます。こういう時手土産くらいいりますよね?」

ドアノブに手をかけたまま問うと教授は爽やかな笑みで答える。

「汚水でかまわないと思うよ。むしろ、清めの塩をまいてきなさい。」

紳士様、発言が悪魔のようですよ。否、悪魔も、そんな事言いません。

「シスターアサヒ、卿一人では危険だ。俺が同行する。」

トレス、君はあたしがどこに行くと思ってるんだい?

「俺も手伝おう。アサヒ、何も心配しなくて良い。」

ユーグ、あたしが心配なのはお前たちの頭だ。

「任せてください。アサヒさん。証拠一つ残しませんから。」

アベル、君の笑顔はそんなに黒いものだっただろうか…

一人一人に心の中で突っ込んでから、一言。

「一人で大丈夫です!」






「はぁ…いや、あたしが悪いから仕方ないんだけど教理聖省苦手なんだよなぁ。受付厳しいし…」

誰か知り合いでもいないかな〜…

そんな淡い期待と共に視線をさまよわせると、見慣れた人物が近づいてくるのがわかった。

「シスターアサヒ、ここで何をしている?」

「ドウオ、久しぶり!」

トレスそっくりの顔がそこにはあった。

「否定(ネガティヴ)現在の俺の呼称はブラザー・バルトロマイだ。」

長いから面倒くさい…そう言ったら怒られるだろうか?しかし、名前間違われるのは嫌だろうし…

「訂正、ブラザー・バルトロマイ。」

色々考えて言い直す。

「…」

少しだけ考えるような仕草のあと、バルトロマイは答えた。

「ドウオと呼べ。お前に呼ばれると違和感がある。」

自分で訂正かけたくせに…違和感があるなんて失礼だ。別に良いけど…

「ドウオ、実は会いたい人がいるんだけど…ブラザー・フィリポはどちらに?」

気を取り直してそう尋ねると、ドウオが抑揚を欠いた声で答える。

「あのダルマウナギに何のようだ」

「だるっ…」

ダルマウナギって言ったよ!?それ悪口だよね?あだ名?あだ名なのか??親しみを込めてそう呼ばれているのか??

混乱しているあたしにドウオは続けた。

「シスターアサヒ、あのダルマウナギに何の用かと聞いている。」

多分親しみを込めて呼ばれているんだ。そう解釈して、ドウオの問いに答える。

賊の事から順に説明し、踏み潰した事の謝罪に来たのだと説明するとドウオは

「理解した。」

と答え、戦闘散弾銃 デウス・エクス・マキナを構えた。

「ちょっ、待って。ドウオ、それ流行ってんの?!」

「発言の意図が不明だ。」

「えーっと、それで何をする気ですか?」

「速やかに排除する。俺は以前からあのダルマウナギが異端審問官として不適切だと認識していたが、今回の件で確信した。あれは抹殺する必要がある。」

君、そのブラザー・フィリポが嫌いなだけだろう??

「排除しなくて良いから案内して。謝りに来たんだから。」

そう告げるとドウオはどこか不満そうだった。




「おや、珍しい…あなたが此方へ来るなんて、何かありましたか?」

ドウオに連れられ、部屋に入るなり物静かな声が耳に入る。

「ブラザー・マタイ。あたし、ブラザー・フィリポに会いにきたのですが…」

「あぁ、その件でしたか。踏み潰したそうですね…」

「す、みません…」

温和なその笑みからは彼の感情を読み取る事はできない。

謝罪の言葉を口にするとマタイはクスクスと笑った。

「シスターアサヒ、何も心配する事はありませんよ。あんなカス、踏み殺して頂いて結構です。」

歌うように告げられた言葉に脳がフリーズする。

停止したあたしの脳を再起動させたのは、穏やかなマタイの声だった。

「…おや、噂をすればブラザー・フィリポ。」

マタイの視線の先には、異常に背が低い樽みたいな体型の小男がいた。その男の額にはペタリとガーゼが貼り付けられている。

「こ、こんにちは。ブラザー・フィリポ。あたし、今日あなたに怪我をさせてしまってっ」

オロオロしながら持ってきた菓子を渡す。

「本ッ当に、ごめんなさいっ」

フィリポが受け取ったのを確認してから頭を下げた。

渡されたモノを握ったままの男に不安になりながら顔をあげる。
バチリと目があった瞬間、新聞紙を摺り合わせるような声でフィリポは笑い、ねばついた視線をアサヒへおくる。

「ビューティホーかつストロンゲストなオレ様ちゃんに会いにきてくれたんだねぇ、天使(えんじぇる)ちゃん」

「は?」

間抜けな声を出すと、フィリポはまた笑う。

「んっん〜照れなくても良いっすYO」

「天使?何の事かさっぱりわかりませんが…??」

「ぶしゃしゃしゃっ、らぶりぃなオレ様ちゃんの前に舞い降りたじゃないっすかぁ。」

もしかして、自分で考えていた以上に強く頭を踏んでしまったのだろうか。

「ご心配なく。シスターアサヒ、彼はいつもこうですから。」

マタイの言葉がなければ、医務室に引きずっていっただろう。

「さぁ、天使ちゃん一緒にお茶でも…」

「あの、あたしにはアサヒって名前があるんですが…」

いつまでも、天使なんて呼ばれたら恥ずかしくて死にそうだ。

「アサヒ?可愛い名前だねぇ。天使ちゃん」

名前で呼ぶ気はないらしい。

「大体なんで、天使なんて事に…」

呆れたように呟くと、フィリポはまた耳障りな笑い声をこぼす。

「何故って…天使ちゃんがオレ様ちゃんを踏みつけた瞬間、曇り空が青空に…」

その言葉に尼僧服を抑えてしまったのは反射だ。

死にたい…

「え、アサヒさん。青なんですか?」

ぴょこんと顔をのぞかせた男がそんな言葉を口にする。

「絶対、ピンクの方が似合いますよ」

「アベル、なんでここにいるの…」

怒りのあまり声が震える。

「勿論、心配だからみんなでついてきたに決まってるじゃないですか」

悪びれる様子もなくアベルはニコニコと笑う。

「ピンク?はっ、ガキじゃねぇか。黒が良いぜ。黒!」

「僕は白が似合うと思うけどねぇ…」

「師匠(マスター)もですか?俺もそう思います。」

悪意はないのだろうが、ハッキリ言ってただのセクハラだ。

「無粋ですねぇ…」

呆れたようなマタイの声が妙に優しく聞こえるのは異常な会話のせいだろうか?

マタイは軽く肩をすくめると笑顔で答える。

「シスターアサヒ、あなたには赤が似合いますよ」

「ドウオ、トレス、全員射殺しろ。」

「「肯定(ポジティヴ 」」

ジェリコM13とデウス・エクス・マキナを構えた殺戮機械(キリング・マシーン)は躊躇う事なく引き金を引く。
けたたましい銃声と悲鳴が教理聖省にこだました。


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下品でしたが、楽しかったです。
アサヒさん、お付き合いありがとうございました。

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あきゅろす。
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