俺様何様貴様様
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と、ふいに携帯が鳴る。
誰のだ、と視線はめぐって、白雪のところでストップ。
あはは、と笑ってその視線全てを受ける。
「メールメール、あー、ねーさまからだ」
「白雪のねーちゃん?」
「お姉さんいるんだ」
「うん、すげーねーさまがいる。あー、ねーさまも学園祭来るって。なんであるって知ってるのかな」
「招待状が届くからだろう」
ご丁寧な学園は、いつに何があるのでご父兄の方はいらしてくださいと、招待状を送るのだそうだ。
「イベント好きなんだなーこのガッコ」
「そうだな」
「あと、学園祭のほかに何あるんだ?」
そう白雪が聞くと、出てくる言葉は様々だった。
「体育祭と……」
「修学旅行もある」
「……卒業式も結構派手かな」
「朝清掃」
朝清掃もイベントなんだ、と白雪は聞いて笑う。
「朝清掃は前にサユから聞いた、縦割りなんだよな」
「そうだね、縦割りで組作って掃除。学園広いからね……そのうち何組か消えていくんだよ」
「消える」
「イイコトしにいくんだよ」
「いっちゃんはそんなこと言っちゃダメ!」
ばしっとテーブルに身を乗り出して、白雪は言う。
壱は、ごめんねと苦笑しながら言う。
そのいきなりの行動は意味不明だ。
「いっちゃんはもっと慎み持たなきゃダメだ、うん」
「気をつけます」
「白雪ってさー、武深にだけ、なんか態度違うよなー」
「んなことないない、俺普通」
壱な笑顔を浮かべる。
どうしてちょっとだけ自分の扱いが他の人と違うものかはわかっている。
白雪も、変わらない表情で、反対に不思議そうだ。
同じに接しているつもりだが、ちょっと違う。
「なんだか、こういうのっていいね」
「んー?」
「大勢で話すって、あんまりないことだから。遠慮なく、君たちは色々話すでしょう?」
「そだね」
当たり前のことが当たり前じゃない。
そういう立場にある人なんだとは、白雪も知っているし、わかっているつもりだ。
けれどもそれはわかっているよりも、根深いのだなと感じる。
「友達ってもしかして、少ない?」
「あ、おまっ、何言って……」
「少ないね」
「やっぱり」
ずばりと聞く言葉。
泰正はお前何言ってるんだ、と止めようとしたけれども、それより早く答えが返ってくる。
「立場をみて近づいてくる人は友達になれない」
「うん」
「だから、少ないんだよ」
「でも俺達友達だし! な!」
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