[携帯モード] [URL送信]

俺様何様貴様様
2
「お前の気まぐれで厄介を起こすな」
「厄介? そんなの起きないようにしてから、渡すよ」
「手を回せば、もうそれで厄介なことになる」

 仲が悪い。
 雰囲気は最悪だ。
 最悪は、いやだ。

「なー、喧嘩は駄目だぜー」
「喧嘩じゃないよ」
「意見の違いだ」
「ん、だから俺の中では二人のそれ、喧嘩」

 フォークでふらふら指し示される。
 いい加減、それやめない? と、言われても簡単にやめれるものではない不仲。

「……そうだね、やめよう。冗談だしね」

 鴇が笑んで、ぎすぎすした空気は和らぐ。
 和らぐけれども、言葉は少ない。

「……皆、静々しすぎ」
「じゃあ話を変えましょう。これからの時期だと澄縁祭ですよね」

 壱がにこりと笑う。
 それにそうだそうだと泰正は頷く。

「澄縁祭?」
「文化祭とか学園祭みたいな」
「あー、ちょとだけ聞いた! それって準備とかまだしねーの?」
「生徒会はもうとりかかっているんだが、会長が……」
「何もしてなさそうだね」

 そう、と慶鷹は頷く。
 話はすすんでいるようですすんでいないと愚痴をこぼしつつ。

「楽しいよ、お祭り騒ぎは」
「へー、楽しみにしとこう!」
「宮様たちも、お仕事があるんですよね」
「ああ……」
「あるね」

 そういえば、という風に、鴇と紗揺は頷く。
 仕事があるとは思ってたけど、何をするんだ、と白雪が聞けば、曖昧にそれは楽しみに、と答えられる。

「あんまり気のりしないことするってことか」
「人前に立たされるのは、嫌なんだよな……あの大勢の中はさらしものだ」
「へー」

 去年を思い出して、紗揺はため息をつく。
 鴇も、そうだねと珍しく同調。
 この場にいるのは二人が思い出すその場を知らないものばかりで、なんだろうと思う。

「去年は中等部だったから、見にはいったけど全体的にどうかわかんないんだよなー」
「やっぱり規模とか違うんですか?」
「それは違うね、全然違うよ、馬鹿さ加減とか……」

 何がどう、中等部と高等部で違うのかは、まだよくわからない。
 でもそれも楽しみの一つ。

「そろそろホームルームでも話にでるかな」
「うちのクラス何するのかな」
「当たり障りなく、喫茶とかお化け屋敷とか……」
「あ、じゃあ最近はやりのメイド喫茶とか? 執事喫茶とか?」
「何だそれ……」
「え」
「メイドも執事も喫茶なんかにいかなくてもいるものでしょう?」

 慶鷹と鴇は、それはなんだと不思議そうな顔をする。
 この澄縁で、トップクラスの家柄の二人には、よくわからないらしい。

[前へ][次へ]

17/22ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!