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俺様何様貴様様
5
「なんで否定するんだよー、いつかはあるかもしれないだろー!」
「ないないないない」

 同じようなやり取りを繰り返す二人をみて、鴇は笑む。

「なんだかんだいいながら、仲が良いね、二人とも」
「僕もそう思う……」

 うん、と頷いたのは壱。
 二人がいいだせば、そう言われるとと周りはなる。
 淳は、マジかと表情が固まる。

「まぁ、がんばれよな淳!」
「……無理、何を頑張れと」
「色々?」

 と、しゃべっているうちにチャイムが鳴る。
 さすがに次の授業は出るんだと一年の面々は席を立つ。

「じゃー、授業でてきまっす!」
「いってらっしゃーい」
「頑張ってね」

 生徒会室から出ていく四人を見送る鴇とラキア。
 出ていって、静かになった生徒会室。

「鴇、まじなのー?」
「何が?」
「好きっていうの」
「ラキだって、あの子が好きでしょう、それと同じことだよ」
「そだね。なんか、今年っておもしろいね、卒業したくないなぁ」

 でも留年はいやだ。

「そうだね、最後の一年が一番楽しいかもしれないね」
「うん、最後だから、楽しいのかもしれないけど一生懸命楽しもうねー」

 へらりと笑うラキアは幸せそうだ。
 鴇もつられて笑顔を浮かべる。
 けれども、すぐ目を細めて笑顔なのだけれども笑ってない表情になる。

「あいつよりも早く出会ってたらよかったのかな……」
「? 何か言ったー?」
「え? 何?」

 鴇の細い呟きはラキアの耳には届かない。
 そうなるように呟いてもいた。
 そして授業開始のチャイムが鳴る。





「視線が痛い」
「まぁ、しょうがないんじゃないかな」
「慶! 慶のせいだからな!」
「俺のせいじゃない……」
「はいそこうるさいわよ!」

 びしっと言われて、こそこそと話していた三人は黙る。
 白雪が話しかけて、二人が答えるのであって、壱と慶鷹はしゃべらない。
 だがしかし、こそこそと思っているんだろうがばっちり聞こえる音量なのはお約束。

「先生キレちゃうから、あとでね」
「うん、じゃあおやすみ」
「寝るんだ」

 壱は笑って、ちょいちょいと髪を引っ張られるのを許す。
 どうやらお気に入りらしくて、その行動を白雪はやめようとしない。
 遠慮がちに引っ張るから、なんとなく許せるようになった。
 後ろから静かに吐息の音。
 静かで、穏やかな授業時間。
 これがずっと続けばいいと思うのだけれども、もちろんそうはいかない。
 授業がおわれば、人だかりだ。
 今度は、慶鷹と白雪がキスをして、さらに鴇を交えての、三角関係だというように、尾ひれがついて大騒ぎ。

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