俺様何様貴様様 5 「ま、淳からの……はじめてのっ、プレゼント!!」 「わー……」 すぐさま携帯でその蜜柑をあらゆる角度から撮影。そして待受画像設定。 はしゃぎすぎだ。 「ア、アキに自慢メールもした! た、食べれない、もったいなくて食べれない」 「予想通りの反応なんですけど、腐るからさっさと食え」 「寝る前に食べる」 大切そうに両手で包み込むように持って、ご機嫌だ。 「……そんなに喜ぶと思わなかった」 「だって淳が初めて!」 「もういいです。おごちそうさまでした」 飯食い終わったんで、部屋帰ります、と淳はそそくさと退散する。 捕まえて引き留める間もなく。 これ以上ここにいてたまるか、とオーラが語っていた。 「淳っ……!」 がっくりと、机につっぷすようなラキア。 もっと一緒にいたかったのに、とぶつぶつ言っていた。 「なぁなぁ慶、いっつもこの人いつもよりテンション高くない?」 「高いな。俺たちも食べ終わったし、帰るか」 「だな。じゃあラキさんまたー」 「失礼します」 「うん、またねー。あ、返事きた……ひどっ!!」 さっき弟に送った喜びメール。 無残に馬鹿にされたらしい。 あの人おもしろいなぁ、と白雪はその様子を見ながら笑う。 「さって、風呂入ってー、テレビみてー色々するかー」 「また明日な」 「おー」 階段上がって、三階と四階の分かれる場所。 「見えなくなるまで見送っちゃる」 「すぐだぞ、そんなの」 「俺の気持ち分だから」 じゃーなーとひらひらと手を振る。 それに振り返すことはないけれども、ふと慶鷹は最後に笑う。 「あ、笑った……ふつーに笑えんじゃん」 見送って、自分も自室へ帰る。 「ただいまー、っと。あ、いっちゃんまだか」 暗い部屋に電気をつけて、軽い荷物を投げ出し。 制服は脱いでクローゼットにかけて、いつもの楽な格好。 「あー、授業ってやっぱ疲れるなー」 いちに、とストレッチ開始。 そうしていると、携帯が鳴る。 「んおー」 テーブルに置いていた携帯。 ぴかぴか光るディスプレイ。 「お、珍しい」 メールなんて、数えるほどだ。 紗揺からのメールなんて。 『来い』 「来いだけか、しかもこの感じ今すぐってか」 場所はいつもいるところだろう。 ぱちっと携帯を閉じる。 そのまま、携帯と部屋の鍵を持って、履きつぶした運動靴を履く。 「あ、いっちゃんにメールはしとこう」 『ちと出かけてくる、門限までには帰る』 「よし、これでおっけ」 向かう場所は、いつものあそこ。 [前へ][次へ] [戻る] |