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俺様何様貴様様
理解不能1
 長くて短い夏休みも終わり、二学期が始まる。


「初登校かー、なんかどきどきするな」
「何言ってるの、夏休みの間にいろんな部活に遊びに行きまくって友達増やしまくってたの知ってるんだから」
「うん、増えた、みんな面白いわここ」


 白雪の携帯のメモリは確実に増えていた。


「で、そろそろ部屋で寝たら? リビングに朝起きていると結構びっくりする」
「や、無理! だって毎晩なんかすごい音がっ!」
「……そんなに激しくやってるんだ……」


 307号室のお隣は、306号室。
 その部屋には総司と、上城鏡(かみしろ・かがみ)の二人が住んでいる。
 白雪と鏡もすでにお友達だ。
 そしてこの総司と鏡は、周りがお前らいい加減にしろよというくらいいちゃつくのだ。
 主に総司が、べたべたと。


「今は夜暑いからいいけど涼しくなってきたら風邪ひくよ。僕からも総司に言っとくから、部屋で寝なさい」
「……や、でもいっちゃんあれは」
「寝なさい」
「はい」


 夏休みの間、壱と白雪の力関係は明確になっていた。
 会った瞬間からこんな雰囲気がないこともなかったが、しっかり壱が白雪を手懐けていた。


「そういえば結局部活は?」
「んー、バスケ入りたいなーだったけどちょっとみてきてめんどいなーとか思ったから、入らないかも。部活に混ざって遊ぶ方が楽しそうだった」
「演劇くる?」
「一番無理だから」


 苦笑する白雪に向かってそう、と壱は笑う。
 この笑顔に弱いのを知っていて向ける。


「ま、新学期だからなんにせよ楽しみにしとくかな。あとクラスで会ってないのって……」
「少しいるね。それじゃ行こうか」
「おー」


 そして扉を開けて廊下にでると、同じタイミングで出てきた306号の二人。


「はよ」
「おはよー……」


 まだ眠いと目をごしごしこする鏡。薄茶の髪がまだ所々はねている。
 総司も眠そうに、あくびひとつ。
 にっこりと、壱が笑顔で歩み寄る。


「いちゃいちゃなのはいいけど、僕らが迷惑だからお盛んなのも大概にね」
「へっ!? えっ!?」
「無理かな」


 何で昨日あったこともにょにょにょとなって顔を赤くする鏡と、何でもないというような総司。


「総司」
「なんだよ」
「バラすよ、色々と」
「すんませんっしたー!!!」


 勢いよく礼。
 だらだらと総司の背中には冷や汗だ。
 わかればいいんだよ、と微笑む。


「いっちゃんかっけー」
「え、雪マジいってんの!?」
「うん、いっちゃんオットコッマエッ! オットコッマエッ!」
「ふふ、ありがとう」


 笑顔も眩しいっす! と白雪は言って笑う。
 そしてみんなで登校。
 小学生の集団登校みたいだ、と笑いながらもそれが楽しい。

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