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俺様何様貴様様
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パレードのコースは校舎裏から始まって、玄関前、校内一階を回り体育館裏で終了となる。

「さあああああああちゃああああああああああああん」
「…………」

パレード開始直後、自分の名前を呼ぶ声に紗揺はその声とは逆の方向をむいた。
その瞬間にフラッシュ。
顔を向けた先に満面の笑みの、葉澄がいた。
行動パターンはお見通しなのだった。

「うわ、にーちゃんたち連携プレーすげえうける!! ゆき!」
「……うぜぇ……あいつらうぜぇ……」

本気でイラっときたらしい紗揺の不機嫌さが周囲に伝わる。
これはまずい、と白雪は思ったわけで、思ったら行動になるわけで。

「サーユー、お祭りなんだからいいじゃん! な? いいじゃん! ゆき!」
「……あー……なんか、もういい」

毒気が抜けたと紗揺は言う。
じぃっと白雪が真面目な顔で言って、自分が思うことがアホらしいんじゃないかと思えた。

「なら、サービスで笑ってやりなよ」
「それは無理だ」

だが拒否するところは拒否。
簡単に笑ったりはしたくないらしい。

「あっはは! まぁ、それがサユらしいっていうか……いーな、うん! ゆき!」
「……お前もゆきゆき大変だなぁ」

ぽふぽふと頭を撫でられる。
その時の紗揺の表情があきれ半分で笑っていてとても優しかった。
そんな表情は、周囲に見せることはめったになく、視線は自然と集まる。

「で、お前はなんでゆきゆき言って、そんな格好なんだ」
「ちょ、いまさらだなおい! ゆき! ほら、雪女だからゆきゆき! うちお化け喫茶なわけ! ゆき!」
「おい……その語尾はかわいそうになるから本当にやめろ……」

やめろと言われれば続けたくなるもの。
白雪は止まらなかった。
行動も止まらなかった。

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