俺様何様貴様様 3 「……なんで塀?」 「無断外出するんだよ」 「え」 「バレなきゃいい」 ほら、と背中を押される。 白雪と紗揺は塀に登って、あたりを確認して外にでる。 「もしかして、時々こういうことしてる?」 「してる」 妙に慣れている風な紗揺に白雪は笑う。 学園の、外だ。 「いちご大福、コンビニで買ってやるから」 「コンビニかよー!」 「ありがたく思えよ」 白雪は紗揺の後ろをついて行く。 どこに何があるかなんてはわからない。 とくに会話もなくて、ただ静かだった。 と、いつの間にかよくみるコンビニの看板が見えてくる。 「お、コンビニー」 「だな、多分あるだろ」 二人その店に入っていく。 紗揺はペットボトルの水をとり、白雪はいちご大福をみつける。 「なんか他にもあるか?」 「え、いいのかー?」 「ああ」 やりぃ、と言ってさらにいちご大福一個追加、そしてペットボトルの茶をとる。 「よっろしく!」 「ああ」 紗揺の手に全部押しつけて、コンビニの中を見回る。 とくに変わったものはなく普通のコンビニ。 「おい、行くぞ」 「あ、うん」 会計終わった紗揺に呼ばれて外に。 そして紗揺は今まで歩いてきた道とは反対方向に進んでいく。 「あれ、ガッコに帰んないんだ」 「ああ、もう午後もサボろうと思ってるしな」 「サユの不良!」 「お前もだろう」 コンビニまでとは違って、二人で話をする。 そのうちにたどり着いたのは公園だ。 紗揺はこっちだ、と先を歩いて行く。 「俺ここが好きでさ」 何の変哲もない公園。 滑り台に砂場、ブランコと本当に普通の場所。 誰もおらず、とても静かだ。 「へー」 「休みとか、この辺でよく昼寝してる」 芝生の生えた木下。日当たり良さそうで確かに昼寝にはもってこい。 「でも休みって子供いねぇ?」 「いる。知らない間に横で寝ててびびったこともあるな」 「サユもてもて!」 その昼寝しているという場所に紗揺は据わり、その隣に白雪も。 ほら、と買ったもの渡されればすぐに開けて幸せそうな表情を浮かべた。 「お前さ」 「んー」 「幸せそうだな」 「うん」 はぐっと食べて、にんまりする。 そんな様子を紗揺は眺めて笑っていた。 「子供に囲まれるサユか、なんかおかしい」 「あ?」 「なんでもない」 だがプ、と笑いを漏らしていたのはばればれで、視線はじっとりとしたものが向けられていた。 「あ、サユも食う? 俺が食ってるけど」 「お前にやったんだからお前が食えって」 「おう!」 食べかけ差し出され、苦笑で返す。 気を使ったつもりなんだろうが、きっとかえってくる答えは予想済みだったはずだ。 [前へ][次へ] [戻る] |