俺様何様貴様様 6 「おかえりー」 紗揺が部屋に帰ると、ものすごく寛いだ白雪がいた。 なんだか、むかつく。 「ほら」 「ありがと」 乱暴に投げ渡す白雪のもの。 それをキャッチして白雪は笑う。 いつもと変わらず、笑う。 少しの違和感と安堵を紗揺は感じていた。 「サユっていっつも何してんの」 「普通に……」 「普通に?」 「テレビみたり」 「何ソレ想像できない」 想像できないと白雪は笑って言う。 そんなことを言われても、見ているものは見ている。 「あのなぁ、俺も人の子だろう」 「うん、でもなんかイメージできなくて」 「できなくてもしてるんだよ」 苦笑しながら紗揺は言う。 白雪はでもなぁ、とまだ渋っていた。 「サユ、暇?」 「やることは別にないな……」 「よし」 にやり、というのが一番しっくりくる。 紗揺は嫌な予感がする、と思った。 「格ゲーしよう!」 「いやだ」 「なんで」 「しつこいだろうが」 絡まれるのはごめんだと紗揺はその辺にあった本を手にとる。 じーっと視線を感じて、なんだと白雪に問う。 「せっかく一緒にいるんだからなんか、遊ぼう。話するのでもいいし」 「なんで」 「なんかしてないと嫌な気分になるから」 大丈夫そうで大丈夫じゃなかった。 平気を装うのもそろそろ限界なのかもしれない。 これ以上は何も言えないという雰囲気で、白雪は黙る。 紗揺は少し間をおいて、携帯を持ち出す。 そして電話。 白雪はどこにかけているんだろうと見ているだけだ。 実は少し自分のことを無視したと、不機嫌になりながら。 「あー、ラキ? お前ゲーム機持って今から俺の所にこい」 「!」 「……わかったよ、今度な……五分以内にくる」 「俺サユのそゆとこ大好き」 大好きとへらりと笑う。 ああ、この雰囲気が、何とも言えないと少し浸るが、それもすぐに終わる。 激しいピンポンチャイム。 「一分だったね」 「早すぎだろう」 開けてやれ、と言われて白雪が扉を開ける。 そこにはラキアがどーんとゲーム機持って立っていた。 「おあっ! 白雪なんでいんの、どしたー」 「今日ここに泊る予定で」 「まじか」 「まじっす」 答えられて、ラキアは白雪とびこして紗揺ににやにやと笑みを送る。 それを受けて、紗揺は眉間にしわを作る。 「なんだよ」 「べつにー。そーかそーか……プッ!」 「?」 「おい、ラキ」 やばい、楽しいと思うラキアを部屋に入れて、長い夜が始まる。 [前へ][次へ] [戻る] |