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俺様何様貴様様
3
「白雪、慶鷹のことは好きだよね」
「好き」
「友達として」

 そう、と満面の笑みで頷く。
 なんでそんな当たり前のことを聞くのか、と白雪は言う。
 きっと、心の奥底ではわかっているけれども、それをわかっていないと思っているからこそきけるんだろう。

「でも慶鷹の好きはきっとそれとは違うよ」
「それも、なんとなくわかってるんだけど……どうしたらいいか今一よくわかんなくて実は困ってる」
「そうなんだ」
「どーしたらいいかな? 鴇さんそういうのわかる?」

 わかるよ、と鴇は返す。
 返して、でもきちっとした答えはくれない。

「僕のいつもしてることが白雪にとって正しいとは限らないから、言わないけど……慶鷹は押しつけてくるような馬鹿じゃないからゆっくり受け止めてやって。受け止めて、それを持っておくのも流すのも白雪次第だけど」

 邪険にはしないであげてね。

 やわらかく、鴇は言う。
 慶鷹のことが大事なんだというのは、伝わってくる。

「俺なりにでいーのかな」
「いいよ。慶鷹だけじゃなくて、他の皆が向けてくる気持ちも一緒だよ」
「ん、頑張ってみる」
「で、これは僕の興味なんだけど、武深君とはどうなの? 何もないの?」
「え、は? 何言ってんですか! 何にもないないない、あっちゃだめだから!」

 壱への態度は他と違う。
 それに気がつかない鴇ではない。でもこの答えっぷり、別に特別な感情を抱いているわけではなさそうだ。

「そう? それじゃあ何か、誰か好きな人できたり心境の変化があったら教えてね、僕に、一番に」
「一番にってのは無理かもしれないけど、できるだけ、うん。そーする」
「そうしてね。ああ、もうすぐ寮だ」
「腹減った! このまま飯食いに行こうかなぁ」
「約束とかないの?」
「うん」
「そう、じゃあこのまま僕も行こう」

 寮に帰ればまだ人は少ないようだった。
 そのまま食堂にはいっても人はまばら。
 鴇が現れても小さな声があがるくらいで大騒ぎにはまだならない。

「何食べる?」
「マーボー丼、はないからマーボー豆腐定食もらって自作する」
「……丼?」
「うまいっすよ」

 へぇ、と鴇は呟く。
 そして少し考えてから、白雪と同じものを注文する。
 料理受け取って、席に持っていく。
 同じタイミングでいただきますと言ってやることは違う。

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