学園の扉
2
━━━━半年後━━━━
やっと蛍から手紙が来た。僕はこの時を待ってたんだ。
これから学園に行くこと、学園内で起こること…全部全部、記憶してあるんだから。
正直蛍の時から因果を止めようか迷ったけれど…蛍には申し訳ないが、それだと学園は変わらない。
だからこそ、僕はこの時を待っていた。革命の時を…。
僕はこっちで生まれた時、柚香さんの子供だった。
びっくりした、まさか自分が蜜柑の位置をとってしまったのでは、と焦った。
でもそうではなくて、柚香さんは双子を産んだのだ。
僕と蜜柑。僕が来てしまったことで柚香さんへの負担は大きかっただろう、それでも愛してくれた。一緒に逃げてくれた。
柚香さんの偉大さを改めて知った…
蜜「なー、綺羅…2日に1通手紙だしとって半年で1通帰ってくるってどういうことやねんな!!」
蜜柑が話しかけてきたので僕は改装を終了させた。
「ほ、ほんまやね…っで、でもな?蛍も慣れへんところであたふたしとって手紙書く時間なかったんとちゃう?」
本当は知ってる。なんでこんなに少ししか返信来ないか。
ごく稀なのだ、届けてもらえる時は。
チェックが厳しいから。通過するのはすごく難関だ。
…まぁ、蛍の場合面倒だからってこともあるだろうけど…
じ「蛍ちゃんは面倒くさがりじゃからのぅ…」
苦笑いで蛍から来た手紙を見るじいちゃん。
僕はここでの生活に慣れ親しんだ感を出すために、基本一人称は“ウチ”に関西弁で話している。
…まぁたまにボロ出ちゃう時もあるけど、蜜柑たちは子供なのでその心配はなし。学園でボロでなきゃいいけど…
ほんらい16歳の僕は、皆よりも何年も生きてきている。あ、精神年齢はそれから10年経ってるから26歳か…やべぇ。考えてみたら僕おばさんじゃん。
いや、まだおばさんじゃない。普通に。でも蜜柑たちからしてみたら…ねぇ。
考えたくもないぜ…
蜜「そんなウチを捨てて都会のピチギャルに走るやなんて蛍の薄情者━━━━っっ!!」
先「立っとれ。」
…びっくりした。そうだ、ところ変わって今は授業中。
蜜柑が元気ないのも無理はない、蛍にべったりだったのだから。
ずっと近くに居たらよくわかる。紙越しに眺めていた時よりずっと、どれだけお互いを信頼しあっているか…
友「なんか蛍ちゃんの行ったアリス学園て、一度入ったら卒業まで親もなかなか会うことできひん監獄みたいな監獄みたいなとこらしいよー」
まぁその通りだろう。アリスが制御できなければどんな危害を与えてもおかしくないのだから、仕方のないことではある。
蜜「どういう事!?」
蜜柑が凄い勢いで友人たちに向かっていく。
そうだみかん、食いつけ!などと考えながら次のステップのことを思い出していた。
お金のことを聞いて蛍が一発で行く気になったと聞いた蜜柑。
すっかり拗ねて、泣いてしまった。
蜜「(嘘つき…ウチらって、蛍にとってそんなあっさり切り捨てられる程度の存在やったん…?)」
蜜柑の心を読み、あぁ、もうすぐ蛍ママがくるな…なんて考えつつ。
「…蜜柑、」
蜜「…なんや?綺羅…」
蜜柑には、いつでも笑ってて欲しいから
「元気だし?泣かないで…」
あなたの笑顔は、陽だまり。みんなの笑顔になるのだから。
何より、蜜柑の笑顔が僕は大好きだから…
「蛍のことは辛い思うよ、でもな…『この度はお嬢さんの件で本校に多額の寄付えおいただき誠に有難うございました今井さん』
あ、来た。
蜜「あ…綺羅…いま、今井って…!聞きに行こ!」
「あ、あぁあちょっ蜜柑!」
腕引っ張らないで!!痛い痛い!!
校「おかげで廃校寸前のこの学校もなんとかやっていけそうです」
僕は校長のが心配だよ…ヨボヨボしてて危なっかしい…
蛍ママはどこか寂しげに話す。
蛍マ「あの子はこの街が大好きでしたから。転校ばかりで今までろくに友達も出来なくて。
やっと心から打ち解け合える友達と出会えたこの学校を、たとえ自分がアリス学園に行っても…守りたかったんだと思います」
蛍ママの言葉がぐっときた。蛍は皆のために、僕たちのためにこんな形で別れたことを僕は分かってるから…
蜜柑は、びっくりして見ている。
蛍マ「あの子がアリスだと分かった時点で、いずれこの日が来ることは心のどこかで覚悟してましたから…」
校「今井さん…」
蛍マ「むしろ今はそんな気持ちを持ってくれたことが嬉しくて。
あの子は変に不器用で…こんな形でしか自分を好きになってくれた人達に、気持ちを表すことができない子だから…」
蜜柑がふらっと廊下に出る。
「あ、蜜柑…」
蜜「…今の話、本当…?」
蜜柑…
蜜「なんで…?なん蛍ウチらに黙って…ウチてっきり、
てっきり蛍、ウチらの事どーでもよくなったんや思て…」
「みか…」
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