学園の扉
1 〜蜜柑視点〜
―――これはあくまで現代日本のお話―――
幼馴染の蛍は変な奴とは思ってたけど、実は天才やったみたい。
国のスカウトで蛍は都会にある天才しか入れん学校に行く事になって、小さなこの田舎町は大騒ぎ。
「蜜柑っはよせな蛍、いってまうで!」
蜜「うんっ綺羅っもーちょっとで…」
皆が言うには蛍は只の天才やなくて、【アリス】てゆー【別格】な天才なんやって。
「おったっ」
前方に蛍発見。
町の人たちが蛍囲んでバイバイ言ってる最中やったんや。
蜜「「蛍っっ!!」」
蛍「綺羅、蜜柑。やっときたわねおみおくり」
ひょうひょうと言ってのける蛍。
ウチらの気も知らへんと…っ
蜜「このっ…(バッ」
「蜜柑っっ」
綺羅が止めに入ってきたけど、ウチの気ぃは収まらへんねん!
蜜「大ボケボケナスゥ―――ッッ」
蛍に蹴りかかった!!
蛍「……(シュッバチーンッ」
そんなウチの渾身のケリを蛍はそれを巨大ハエたたきで難なく回避。
結構本気でかかったんに…っ((
蛍にはウチらとのお別れなんて痛くも痒くもないんか!?
「(蛍さん…その巨大ハエたたき欲しいわ…)」
【51敗0勝】と綺羅が札をかけてくる。
うがーっっいらへんわこんな悲しい札!!
ていうかどっから出したん!?蛍もやけど!
蛍「今時間無いから、用件は口で言って」
さっきも言うたけど…この蛍はウチらの幼馴染で―――親友(これでも)
蜜「この蛍からの手紙…ここに【遠くの学校に行く】てあんねんけど…」
「しかも出発きょうて…小中高エスカレータ―式の学校て…」
今にも泣きそうになりながら訴えてみる。
もしかしたらちょっとした手違いかも…なんていう甘い願いは、蛍本人によって砕け散ってしもた。
蛍「あぁ、全部本当よ」
なんやねん、なんやねん…っそんなん、そ…っ
蜜「んな大事な事こんなカメ使うて知らせるな―――っっ」
なんやねんな!!これ一週間かかるんやろ配達うううう!
蛍「だってあんたら早めに知ったら知ったでうるさいし…毎日の様に私に泣いてべったりするの目に見えてるもん」
そらそやろがーっ!!
蛍の事好きやねんから!嫌なん!?嫌なん!?ぬぁーっ
蜜「お…お前やつは――!人の愛の上にあぐらかきやがって―――!」
我慢しとった涙が出てしもた。
こうなったらもう止まらんで、隣で綺羅も泣いとるしもー堪えれへん!
蜜「蛍のアホバカ不感症―――っっ!いっしょの学校行くていうたくせに―――っっ!!」
ほんまや!ほんまに…っ
蜜「何でそんな大事な事黙ってたんよ―――っっ!!」
ウチは耐えきれんくて、どんどん言葉が口をついて出てくる。
隣で綺羅も泣いとって、涙が止まらんねん。
そんなウチらの頭を蛍が撫でながら、話し始めた。
蛍「それを言うなら冷血漢でしょ。…バカね2人共、こんなの泣くほどの事じゃ無いじゃないわよ。
一生会えないわけじゃあるまいし、夏と冬の休みには帰ってくるし。
手紙だってあるじゃない。電話は緊急時にしかダメだけど」
綺羅はなんなか知っとるんや、きっと。
さっきウチと蛍が行ってしまうん聞いたときに、「遅かった…っ」て言うとった…何が遅かったんかわからんかったけど。
でも今はそんなん考えられんくて、蛍がいってまうことが悲しくて…。
「だって蛍っっ」
蛍「このカメは餞別にあげるわ。元気でね」
蛍…蛍のバカ…こんな突然なん酷すぎる
蛍の事やもん。離れ離れになったらウチら絶対
連絡途絶えるに決まってるもん――――っっ
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