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純情乙女




『いちご牛乳、お待たせしましたぁ!』


あたしは、愛想よく、銀髪のテーブルに置いた。


「なぁ、花音って、いくつだぁ?」


『へっ?17ですけど…』


なんか、馴れ馴れしい人だなぁ…

「そうかぁ…17かぁ…
老けて見えるよなぁ。



悪びれもなく、サラリと言いやがった。


確かに、17に見られた事がない。
たいてい、20代前半に見られる。


ムカついたので


『落ち着いて見えるって、よく言われますっ!』


と言って、さっさとテーブルから、離れた。


…何だよ、あの銀髪ヤロー!


おっと、いけない!


真選不動産チームのテーブルが近付いてきた。


スマイル、スマイル。


『生2つ、お待たせしましたぁ!』


今回は、ドジる事なく、スムーズに、テーブルに置いた。


「慣れてきやしたねぃ」


どうだ!と、言わんばかりの、あたしに、
またもや、黒い笑み。


でも…前から気になってたんだけど、
なんでこの人、こんな言葉遣いなんだろ?


顔とのギャップが、おもしろいけどねっ。


なんて、考えてると…


「土方さん、こっちですぜィ」


…来たーっ!!


ドアの方を見ると、愛しの土方様。


あら、案外、背が高いじゃん!


スラリとしてて、クールな面持ち。


…素敵すぎるw


「あぁ…」


と、言いながら、近付いてくる土方さんを、ガン見状態の、あたし。


土方さんは、そんなあたしをスルーして、席に着いた。


『いらっしゃいませ。お飲みものは?』


今までで、とびっきりの笑顔だ!


「熱燗で。」


これまた、スルー…


その様子を、楽しそうに見ている、黒い笑顔。


「ついでに、食い物の注文も、いい?」


『はい。どうぞ。』


何品かの注文を聞いて、最後に土方さんが言った。


「土方スペシャル」


???


『土方スペシャル…ですか?』


流石のあたしも、そのネーミングに、驚いた。


「あぁ。店長に言えば、わかる。」


あたしの方を見ずに、淡々と、話す土方さん。


…この人、女に興味がないのか?


???を頭に浮かべながらも、切替の早いあたしは、またもや、とびっきりの笑顔で


『はい。かしこまりましたぁ』


と、テーブルから離れようとすると、


「なんか、土方さんだけ、扱いが違いませんかィ?花音ちゃん」


…こいつ、わざと言ってやがるなっ!


『そんな事ないですよぉ』


黒い笑みで、言い返してやった。


ところで、土方スペシャルって、何だろ?


スペシャルってぐらいなんだから、
土方さんの好物盛り合わせとか?


『店長ーっ!土方スペシャルって、注文されたんですけどぉ』


「あぁ。はいはい。
新ちゃん、土方スペシャル、お願い!」


慣れたように、厨房の新八君が、調理にかかった。


「土方スペシャル、あがったよーっ!」


新八君の声と共に出て来たものは…



その下に何があるのかさえ解らない程
マヨネーズが、たっぷりとかけられた、物体だった…





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