純情乙女
6
『ちょっとー!桜!3番テーブルのお客さんって、常連さんなのー?』
一緒にバイトに入っていた、友達の桜に、興奮気味に聞いた。
桜は、あたしを、この居酒屋のバイトを紹介してくれた、高校の友達。
入学当初、目立っていた、あたし達は、違うクラスだったにも関わらず、仲良くなった。
それ以来、何をするのも一緒。
「あぁ、真選不動産の人達?みんな、カッコイイんだけど…」
桜は言いかけて、少し顔を歪めた。
『だけど?』
「一癖どころか、何癖もある人達だよぉ…」
何だよ!それっ?
あたしは、首を傾けた。
「まぁ、接客してたら、わかるよ」
桜は、面倒臭そうに答た。
『ところでさぁ、《トシ》って人の名前、知ってる?』
あたしは、目を輝かせて聞いた。
「…やっぱり、花音の好みだと思ったよ。
教えて欲しい?」
桜は、意地の悪い笑で、あたしの脇腹をコツいた。
『うん、うん!教えて!』
あたしは、待てを喰らった犬状態だ。
「土方十四郎って、ゆーんだよ。」
ふ〜ん。なんか、古風な
名前なんだぁ…
でも、なんか、ピッタリ。
「まっ、せいぜい、がんばって!」
桜は、興味なさ気に言った。
『なんか、興味なさ気だねぇ。桜が、あんな男前集団、ほっとくなんて。』
「花音に、言われたくないよっ!狙った男は、必ず落とすクセにっ」
あははは…
確かに、そうかも。
あたしが、目を付けて
落ちない男は
いない。
よ〜しっ!
待ってろ!土方!
絶対に、落としてヤルーッ!
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