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純情乙女




『ご注文は、おっ決まりですかぁ?』



ルンルンしながら、真選不動産チームのオーダーを取りに行った。


「なんだ?えらく、機嫌がいいじゃないか。」



久しぶりに参加している近藤さんが、眩しいぐらいの笑顔で、聞いてきた。



『そぉですかぁ?みなさんが、来てくれたからかなぁv』


「皆さんじゃなくて、個人限定なんじゃねぇですかィ?なぁ花音。」


総悟の、いつもの黒い笑みに、負けず


『そうかも〜v』



「じゃあ、さっきの沖田さんとの「なっ、なにーっ?総悟なのぉ〜?!」



山崎さんが、言い終わらないうちに、近藤さんが叫んだ。


『あたしは、大人の男が好みですからv』



土方さんを見て言ったんだけど、近藤さんが勘違いをしたようだ…



「そうなのーっ?!花音ちゃんは、大人の男が好みなのー?
ってことは…」



いやいや、違いますから。


『土方さ〜ん。お酌しましょうかぁ?』



有無を言わさず、勝手に徳利を掴み、土方さんにお猪口を持つように、催促した。



「あぁ。」



くーっ!


クールだねぇ。


粋だねぇ。


惚れてまうやろーっ!



あっ…惚れてたんだ。



『美味しいですか?』


「あぁ。」


『あたしが、お酌したから?』


「あぁ。…あぁーっ?!」


目を見開いて、驚いた顔の土方さん。


そんな顔もステキです。


『そこは、否定ですか…』


「いやっ、その、アレだ…」


慌てる事もあるんだ。


そんな土方さんもステキです。



「なんだ?!やけにトシに優しいなぁ。俺には優しくしてくれないの?」


近藤さんが拗ねたように言った。


『だって、近藤さんには、お気に入りの人がいるんでしょ?』



「お気に入りなんかじゃないっ!心に決めた人だっ!」


立ち上がって、言い切った姿は、かっこよかった。


あたしも、そんな風に言えたらいいのに。



『じゃあ、なおさらダメじゃないですか。』



「そうだな。花音ちゃんの言う通りだ。
それじゃあ、俺は、今から愛しい人に会いに行ってくる。」



はぁ?


近藤さん、極端すぎます。


でも、そこまで想われてるのって、羨ましい。



ってゆーか、その人って、確か新八クンのお姉さんだったよね…



あれ以降、この事に関して何も言ってこないけど、いいのかなぁ…



あたしは、気になって、総悟の顔を見た。


総悟は、小さく首を振った。


関わらなくていいって事かな?


まぁ、あたしが新八クンに話を聞いたところで、近藤さんの恋が実る訳でもないしね。


あたしは、小さく頷いた。


その、少しの間に、
近藤さんの姿は消えていた。


『いいですね。あんな風に、自分の気持ちを出せるって。』


「そうでもないですよ。近藤さんの行為は、一歩間違えたらストーカーですからね。」



山崎さんが、切なそうに言った。



『ははっ…それは、それで困ったチャンですね。』


「花音ちゃ〜ん!まかないができたよーっ!」


『は〜い!』



あたしは、名残惜しむかのように、その場を離れた。





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あきゅろす。
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