純情乙女
2
『ふふんっ』
鼻歌なんか歌っちゃってるあたしに、周りは気味悪がっている。
「どうしたの〜?いいことあったぁ?」
桜がニタニタしながら聞いてきた。
『あたし、土方さんのこと、好きみたい。』
「はぁーっ?!」
桜は、驚きの余り、手に持っていたお盆を落とした。
『えっ?何?そんなに、驚くことなの?』
「そうじゃないけど…
確かに、カッコイイし、花音好みなのは、わかるけど…」
『けど何よ?』
「味覚、おかしいし…」
『そのギャップがいいじゃん。』
「あの真選不動産のメンバーの中に居るって事だけで、普通じゃないよ?」
『おもしろくて、いいじゃん。』
「はぁ〜っ。何を言っても無駄みたいねぇ。」
『うん。だって、あたし本気だから。』
「…本気なの?」
『うん。蓮が、気付かせてくれた。』
渋い顔をしていた桜の表情が、和らいだ。
「そっかぁ。最近のあんた達の様子、気になってたのよねぇ。そっか、そっか。」
嬉しそうに微笑んだ桜は、「まぁ、がんばりなよ」と、言い残して、ホールへ向かった。
うん。がんばるよ。
勝ち目のない恋だけど、人を好きになることに気付けただけでも、大収穫だよ。
さてと…
愛しい土方サマの、お顔でも、拝見に参りましょうか。
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