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純情乙女




『ふふんっ』



鼻歌なんか歌っちゃってるあたしに、周りは気味悪がっている。


「どうしたの〜?いいことあったぁ?」



桜がニタニタしながら聞いてきた。



『あたし、土方さんのこと、好きみたい。』



「はぁーっ?!」



桜は、驚きの余り、手に持っていたお盆を落とした。


『えっ?何?そんなに、驚くことなの?』


「そうじゃないけど…
確かに、カッコイイし、花音好みなのは、わかるけど…」


『けど何よ?』


「味覚、おかしいし…」


『そのギャップがいいじゃん。』


「あの真選不動産のメンバーの中に居るって事だけで、普通じゃないよ?」


『おもしろくて、いいじゃん。』


「はぁ〜っ。何を言っても無駄みたいねぇ。」


『うん。だって、あたし本気だから。』


「…本気なの?」


『うん。蓮が、気付かせてくれた。』


渋い顔をしていた桜の表情が、和らいだ。


「そっかぁ。最近のあんた達の様子、気になってたのよねぇ。そっか、そっか。」



嬉しそうに微笑んだ桜は、「まぁ、がんばりなよ」と、言い残して、ホールへ向かった。



うん。がんばるよ。


勝ち目のない恋だけど、人を好きになることに気付けただけでも、大収穫だよ。



さてと…


愛しい土方サマの、お顔でも、拝見に参りましょうか。





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あきゅろす。
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