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純情乙女
10



嫌な予感は的中した。


お化け屋敷では、おばけ以上に驚かされ、


コーヒーカップでは、吐きそうになる程、回され、


急流すべりでは、ビニールシートを奪われ、あたしだけ、ビショ濡れ…



でも、男と遊園地に来たのは、初めてじゃないけど、
こんなに楽しかったのは初めてかもしれない…



『あーっ、楽しかった!』


帰りは、車で送ってもらった。


勝手に曲を選曲して、大熱唱までした。


「そりゃあ、よかった。どうでィ?俺の女に、なる気になっただろ?」


『その気なら、こんなあたしを見せる訳ないじゃん!』


「そりゃそうだ。でも、本当の花音を知る数少ない男でィ。」


『そうかもしれないね。あたし、男の前だと、人格変わるからw。
…なんか、ごめんね。近藤さんの事。力になれなくて。』


「いいでさァ。それより、俺も楽しかったですぜ。また、誘うから、待ってなせィ。」


『何で、待たなきゃいけないのよっ!なんか、誘ってほしいみたいじゃん!』


「そうじゃないんですかィ?」


『…友達としてならね。』


「当たり前でさァ。俺は、勝ち目のない恋なんて、しない性でしてねェ。」


『あたしと一緒だね。恋愛なんて、面倒臭いだけだよ…』


「その割には、店で働いてる時の花音は、恋する乙女って感じですぜ。」


『まっ、また、そんな事言うっ!違うから。マジで違うから!』


「へいへい。家は、この辺かィ?」


『あぁ。あの公園の前で降ろしてくれたら、いいよ。』


「家は、近いんですかィ?」


『うん。その公園沿いだから、すぐ。』


「わかりやした。送ってやったのに、家までの間に何かあったら…」


『ふふっ。心配してくれてんの?』


「後味が悪いからでさァ。」


クッ…

やっぱ、そうですか?!


『死ねっ!沖田ドS王子!』


なんか口調、移ってきたなぁ…


あたしは、ありがとうを言って、車を降りた。


「仕方がねぇから、花音が家には入るまで、見ててやりまさァ。」


やっぱ心配なんじゃん。


あたしは、悪戯な笑みを残して歩き出した。


家の前に、人影が…



目を凝らして見ると、家の壁にもたれて立っているのは、


蓮だった…





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あきゅろす。
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