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純情乙女




「花音、隠れろっ」


そう言われて、総悟に引っ張られて、路地裏に隠れた。


総悟の目線の先には、一軒の喫茶店。


???


『何?探偵ごっこ?』


「あの喫茶店に、女の店員が居るのが、見えるかィ?」


『うーん?あっ、見えた!』


その女の人は、2、3歳年上ぐらいで、とても綺麗な人だった。


『あの綺麗な人?誰?』


「近藤さんの、想い人でさァ。」


『はぁーっ?何で、覗き見なの?ってゆーか、何で、あたしが見る必要があるのよっ?!』


「この前、女物の服屋で会っただろ?あれは、あの人にプレゼントする服を買いに行ってたんでィ。」


…そうなのっ?!


土方さんの奥さんのプレゼントじゃなかったんだっ!


あたしは、ニヤケそうになる顔を、必死で押さえた。


『ふ〜ん。何で近藤さんが自分で買わないの?』


「あれ位の年の好みがわかんねぇから、俺達が頼まれたんでィ。でも、気に入らなかったらしくて、突き返されたんでィ。土方コノヤローの趣味が悪いせいでさァ。」


『えーっ!ほんとに土方さんが、選んだのぉ?』


あたしは、疑いの眼差しを送った。


「ほんとですぜィ。そういえば、花音に会ってから、様子がおかしくなりやしてねィ。なんか、ヤケクソになって、適当に選んだんでィ。
花音が男連れで居たのが、ショックだったんですかねぇ。」


そう言って、得意の黒い笑みを見せた。


意地悪されてるって、わかってるのに、
なんだか、嬉しくなってきた。


「何、ニヤついてんでィ!土方コノヤローが役立つだったから、花音に見立ててもらおうと思って、ここに連れて来たんでさァ。」


何がデートだっ!


ただのパシリじゃん!!


『怒ってるんですかィ?』


あたし、顔に出てた?


珍しく、総悟が真顔だ。


そんな顔されたら、怒れないじゃん。


『ううん。怒ってないよ。あの人に似合う服を選べばいいんでしょ?
でも、何で服なの?』


「俺も、よく解んねぇんでさァ。とにかく、服をプレゼントしたいらしくて…」


『服のプレゼントって難しいんだよねぇ。好みがあるし…あっ、あの人っ!』



見覚えのある人物が、喫茶店に入って行った。



「知り合いかィ?」


『うちの店で働いてる、新八君だよ。』


「…あんなヤロー、見た事ねぇぜぇ。」


『そうだろうね。だって調理場に居るから。(しかも、影薄いし…)
でも、何であの喫茶店に…。家が近所なのかな?』


そんな事を話しながら、あたし達は、路地裏に隠れて、まだ、探偵ごっこをしていた。


あっ、新八君が出て来た。


ってゆーか、出て来るの早くね?


その後ろに続いて、例の女の人もついて出て来た。



「無理しないで下さいよ。姉上。」




………姉上ーっ!?


声を上げそうになったと同時に、総悟の手が、あたしの口を塞いだ。



「危ねぇ、危ねぇ。こんなとこで気付かれたら、隠れてる意味がねぇだろ?」



『…ふいまへん。』


あたしはの口は、まだ総悟の手で塞がれたままだった。


「くっ、くすぐってぇ!」


総悟は慌てて、手を離した。


『あはは。何、赤くなってんの〜?』


「花音の唇が、柔らかかったからでさァ。」



からかったつもりが、逆にやり返された。



「そんな事より…」


『あの二人、姉弟?』


「みたいですねィ。」






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あきゅろす。
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