純情乙女
5
やっぱり、あたし…
恋してる?!
こんなの初めてだ。
笑顔にドキドキしたり、
側に居るだけで、緊張するなんて…
あたしは、中2の男子ですかーっ?!
仕事に集中出来ないから、なるべく土方さんを見ないようにした。
すでに集中出来てないけど…
「ありがとうございましたーっ!」
誰かが帰るんだと思って見てみると、真選不動産チームだった。
最後に一目…
あたしは、テーブルを片付けるのを理由に、こっそり真選不動産チームのお見送りをしていた。
後ろ姿もカッコイイ…
なんて、見取れていると、
「おい、花音」
後ろから声がした。
『なんでィ?』
「真似してるんですかィ?」
黒い笑み…じゃない、沖田さんが立っていた。
『あれ?帰らないんですか?』
「終わるまで待ってるから、一緒に帰ろう…なんて、言うと思いましたかィ?」
やっぱり、黒い笑みだ。
『ホントに、沖田さんって、意地悪ですよねぇ』
「明日、仕事が休みだから、俺に付き合いなせェ。」
『はあぁーっ?!』
テーブルを片付けていたので、沖田さんに背を向けていたあたしは、驚いて振り返り、変な声をあげた。
『何言ってんの?明日は、水曜日ですよっ!?』
「不動産屋は、水曜日が休みなんでィ。当然だろ?」
そうゆー事じゃなくてぇって、不動産屋って水曜日が休みなの?
そうなんだぁ…
イヤイヤ、感心している場合じゃない。
『あたし、学校ありますから。』
「1日ぐらい休んだって、どうって事ねぇよ。明日の10時に、この店の前で待ってるから。じゃあなっ!」
そういい残して、沖田さんは、去って行った…
あたしは、片付けたお皿を乗せたお盆を持ったまま、フリーズ状態だった。
「ふ〜ん。花音の恋の病の原因は、真選不動産の若造だったのかぁ。」
どこからともなく、やる気のない声。
『違いますっ!ってゆーか、聞いてたのっ?!』
「俺は、花音の仕事が終わるまで、待ってるよぉ〜。」
ニタ〜ッと、笑う坂田さん。
最初から聞いてたのかよっ!
『盗み聞きなんて、いやらしい!どれだけ、あたしが好きなのよっ?』
あたしも、ニタ〜ッと笑ってやった。
「ものすっごーくっw好きなんだけど〜。まあ、その、好きな女が幸せになるなら、協力してやってもいいぜ。」
『だから、沖田さんじやないってばっ!』
しまった!沖田さん以外の人だってバレちゃう!
「はいはい。デートに行くんなら、まぁ、アレだ。セットぐらいしてやるぜぇ。気が向いたら店に来いよ。店開けんの、昼の1時からだけどよぉ。」
…どんだけ、やる気ないんだ、アンタ。
ごっそーさん
と言って、坂田さんも帰って行った。
さぁ、どうする?花音。
これは、土方さんに近付けるチャンス!
なのか?……
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