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純情乙女




――何やってんだろ…。土方さんこそ、奥さんのプレゼント買ってたんですか。
ぐらい言えばいいじゃん…


なんで、こんなに余裕がなくなってんだぁ?


まったくぅ――


『お待たせぇ〜』


溜息混じりで、いちご牛乳を、坂田さんのテーブルに置いた。


「何っ?溜息なんかついちゃって。恋の悩みですか?このヤロー!
何なら、銀さんが相談にのってやってもいいぞぉ。」


『いやいや、坂田さんに相談なんかのってもらったら、余計ややこしい事になりそうだし…』


「やだなぁ。銀さんでいいよ〜。花音と俺の仲じゃない。…と、ゆーことは、ホントに恋の悩み?」


どんな仲なんだよっ!と、心の中で突っ込みつつ、


『今まで味わったことのないような、悩み。
なんか、うまく表現出来ないんだけどね…』


ははっ、と惚けてみると、


「もしかして、俺に惚れちゃった?」


『有り得ないからっ!』


「そうなのぉ?俺的には、全然OKなんだけど〜。」


どこまで、悩天気なんだろう…


まぁ、ソコがいいとこなのかもね。


なんて、話していると


「花音ちゃ〜ん!」


と、近藤さんの声が聞こえた。


飛び切りの笑顔で、メニューを振っていた。


オーダーか…


『ご指名が入ったから、じゃあね。銀さんw』


「すぐに戻って来てね〜」


ここは、キャバクラじゃないですからーっ!!


真選不動産チームのテーブルに行くと、近藤さんは、相変わらず満面の笑みだった。


「やっぱり花音ちゃんも、いいよねぇ。」


<も>って何ですか?
<も>って?!


「近藤さんは、ここに来るよりも、行きたい所があるんでさァ。」


心読めるの?沖田さん?


「そっ、総悟っ!!」


「キャバクラに、お気に入りが居るんですぜィ」


近藤さんが、あたふたしている。
この人って、隠し事出来ないタイプなんだろうなぁ。
なんだか、可愛い。


『そうなんですかぁ〜?なんか、ショック〜』


あぁ…
土方さんの前で、いつもの、あたしが出てしまった…


「いやぁ…まいったなぁ」


近藤さんったら、顔を赤くして、ホントに困ってる。
あの…社交事例なんですケド…


『あはは。それなら、皆さんで、キャバクラに行けばいいじゃないですかぁ。』


「俺ぁ、ああゆー所ぁ、嫌いだ。落ち着いて呑めやしねぇ。」


土方さんが、ボソッと言った。


…そーなんですか?
でも、土方さんなら、あんなとこ行ったら、モテモテなんだろなぁ…


『じゃっ、じゃあ、沖田さんが着いて行ってあげればいいじゃないですか。あっ!もしかして、沖田さん、あたしに会いたいんじゃないですかぁ?』


いつもの仕返しだ!


慌てろ!沖田!


「そうでさァ。花音に会いに来てるんですぜィ」


黒い笑み…


やられた…
クソッ。あたしの負けだ。


桜の言った通り、この人達、個性強すぎっ!!

あっ、山崎さんは、別の意味で…


驚く一同を尻目に、沖田さんは、してやったりの黒い笑顔。


『はいはい。わかりました。じゃあ、沖田さんは、あたしのスマイルで、よろしいですね。他の方は、お決まりですか?』


沖田さんを軽くあしらい、オーダーをとろうとしたら、土方さんが、笑い出した。

しかも、大爆笑だ。


「くははっ。総悟が、やり返されるなんて、おもしれーっ!」


「うるさいっ!くたばれ、土方コノヤロー!」


沖田さんも、流石に焦っている。


初めて見た。こんな土方さん。

こんなふうに、笑うんだ


ヤバイよ。


胸がキュンキュン言ってるよ――





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あきゅろす。
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