純情乙女
4
――何やってんだろ…。土方さんこそ、奥さんのプレゼント買ってたんですか。
ぐらい言えばいいじゃん…
なんで、こんなに余裕がなくなってんだぁ?
まったくぅ――
『お待たせぇ〜』
溜息混じりで、いちご牛乳を、坂田さんのテーブルに置いた。
「何っ?溜息なんかついちゃって。恋の悩みですか?このヤロー!
何なら、銀さんが相談にのってやってもいいぞぉ。」
『いやいや、坂田さんに相談なんかのってもらったら、余計ややこしい事になりそうだし…』
「やだなぁ。銀さんでいいよ〜。花音と俺の仲じゃない。…と、ゆーことは、ホントに恋の悩み?」
どんな仲なんだよっ!と、心の中で突っ込みつつ、
『今まで味わったことのないような、悩み。
なんか、うまく表現出来ないんだけどね…』
ははっ、と惚けてみると、
「もしかして、俺に惚れちゃった?」
『有り得ないからっ!』
「そうなのぉ?俺的には、全然OKなんだけど〜。」
どこまで、悩天気なんだろう…
まぁ、ソコがいいとこなのかもね。
なんて、話していると
「花音ちゃ〜ん!」
と、近藤さんの声が聞こえた。
飛び切りの笑顔で、メニューを振っていた。
オーダーか…
『ご指名が入ったから、じゃあね。銀さんw』
「すぐに戻って来てね〜」
ここは、キャバクラじゃないですからーっ!!
真選不動産チームのテーブルに行くと、近藤さんは、相変わらず満面の笑みだった。
「やっぱり花音ちゃんも、いいよねぇ。」
<も>って何ですか?
<も>って?!
「近藤さんは、ここに来るよりも、行きたい所があるんでさァ。」
心読めるの?沖田さん?
「そっ、総悟っ!!」
「キャバクラに、お気に入りが居るんですぜィ」
近藤さんが、あたふたしている。
この人って、隠し事出来ないタイプなんだろうなぁ。
なんだか、可愛い。
『そうなんですかぁ〜?なんか、ショック〜』
あぁ…
土方さんの前で、いつもの、あたしが出てしまった…
「いやぁ…まいったなぁ」
近藤さんったら、顔を赤くして、ホントに困ってる。
あの…社交事例なんですケド…
『あはは。それなら、皆さんで、キャバクラに行けばいいじゃないですかぁ。』
「俺ぁ、ああゆー所ぁ、嫌いだ。落ち着いて呑めやしねぇ。」
土方さんが、ボソッと言った。
…そーなんですか?
でも、土方さんなら、あんなとこ行ったら、モテモテなんだろなぁ…
『じゃっ、じゃあ、沖田さんが着いて行ってあげればいいじゃないですか。あっ!もしかして、沖田さん、あたしに会いたいんじゃないですかぁ?』
いつもの仕返しだ!
慌てろ!沖田!
「そうでさァ。花音に会いに来てるんですぜィ」
黒い笑み…
やられた…
クソッ。あたしの負けだ。
桜の言った通り、この人達、個性強すぎっ!!
あっ、山崎さんは、別の意味で…
驚く一同を尻目に、沖田さんは、してやったりの黒い笑顔。
『はいはい。わかりました。じゃあ、沖田さんは、あたしのスマイルで、よろしいですね。他の方は、お決まりですか?』
沖田さんを軽くあしらい、オーダーをとろうとしたら、土方さんが、笑い出した。
しかも、大爆笑だ。
「くははっ。総悟が、やり返されるなんて、おもしれーっ!」
「うるさいっ!くたばれ、土方コノヤロー!」
沖田さんも、流石に焦っている。
初めて見た。こんな土方さん。
こんなふうに、笑うんだ
ヤバイよ。
胸がキュンキュン言ってるよ――
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