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純情乙女




あぁ…


いつもは、バイトに行く時間が早く来いっ!なんて思ってたのに
今日は、時間になっても、用意する気にもならない。


休みたい……


って、何やってんだろ?


何を、そんなに脅えてるんだ!


いつも通りでイイじゃん!


とにかく、早く用意しなきゃっ!


あたしは、今まで感じた事のない不安を押し殺して、バイトに向かった。



『おはよーございまーすっ!』


みんなに挨拶をして、更衣室へと向かう。


ロッカーの鏡に写る自分の顔に喝を入れて、ホールへ出た。


入口が開く度に、頭の先から体の真ん中を通って足の先まで、ビクリと電気が走る。


何なんだよ〜コレッ?!


あたしの様子がおかしい事に気付いた桜が、話し掛けてきた。


「どぉしたの?なんか変だよ?キョドってるし、動きがロボットみたいw」

あんたっ、あたしの奇行ぶりを、楽しんでるなっ!


ははっ…と、愛想笑いをすると


「これは、もしや…
土方マジックにかかっちゃいましたかぁ?」


ププッと笑う桜に睨みをきかせていると
あたしの奇行の元凶が、やって来た…


「いや〜!ごぶさたぁ!花音ちゃん、俺に会えなくて寂しくなかったぁ?」


大きな声と共に入って来たのは、ゴリさん…じゃなくて、近藤さんだった。


そういえば、近藤さんが一緒って、久しぶり?


そんな事は、どうでもいい。と思いながらも


『寂しかったですよぉw』

などと得意の笑顔を見せている。


近藤さんには、いつも相手してる男共の様に出来るのになぁ…


近藤さんのデカい体に隠れて、気付かなかったが、総悟さんが、ひょっこり顔を出した。


相変わらず、可愛い顔して、笑顔が黒い。


「よっ!花音。今日は、デートじゃないんですかィ?」


更に黒くなる笑顔。


「でぇーとぉーっ?!」

近藤さんが、叫んでる。


地味過ぎて気付かなかった、山崎さんが、興奮している近藤さんを引っ張る様に、テーブルへと連れて行った。

そして、最後に土方さんが入って来た…


「この前は、悪かったな…総悟が…その…アレだ。デートの邪魔しちまったみたいでよ…」


土方さんは、本当に、申し訳なさそうに言った。


『デートじゃないですからっ!』


あたしは、おしぼりをテーブルの上に、ボンッと置いて、注文も聞かずに、その場を離れた。


「お〜い!花音ーっ!いちご牛乳おかわりぃ〜っ」


やる気のない声の主の所へ、カリカリしながら


「いちご牛乳と、さんまの塩焼きって、どんな組合せだよっ!」


と、八つ当たりして、グラスを片手に、ドリンクコーナーに向かった。





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