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純情乙女




次の日、蓮は、教室まで迎えに来てくれた。


「で、どこ行くんだよ?」

『ちょっと、気になる服を見つけたんだけど、蓮に見てもらいたくてさっ』

「そんなの、女同志で行けばいいじゃん!」

『ダメダメ!女の目と、男の目は違うでしょ!
やっぱ、男受けイイの選ぶには、男の目っ!』


そう言って、蓮の目を指差した。

「結局、お前の男遊びのお見立て役かよ…」

『そんなこと、ナイナイッ!蓮が選ぶってことは、蓮好みって事でしょ?その服を着た、あたしが見れるんだから、一石二鳥じゃん!』


蓮は、はぁと、
溜息を着きながら
「わーったよ」

と、言って歩き出した。


ショップに入って、気になる服を、次々と体に当て、蓮の反応を見る。


その時、聞き覚えのある声が聞こえた。


「こっちの方がいいんじゃねぇですかい?」

「俺には、わかんねぇよ。適当に任せる。」

「そんな事、言われやしても…
あぁっ!」

その声の主が、こっちを指差していた。



まさか、こんな所で会うなんて…


『こっ、こんにちは。』


蓮が、あたしを肘で突きながら、
「誰?」

と小声で聞いた。

『バイト先の、お客さん』

あたしも、小声で返した。


「へぇ!そんな格好してると、今時の女子高生ですねィ。そちらは、彼氏ですかィ?」


総悟さんが、興味津々な目で聞いてきた。


『ちっ、違いますっ!
友達ですっ!』

あたしは、無意識に蓮から離れようとした。

その時、蓮が、あたしの腕を引き寄せ、

「何で、あんたに、そんな事、言われなきゃいけねぇーんだよっ!」


と、総悟さんに、食ってかかった。


「おい、総悟。店ん中でみっともねぇ。さっさと決めて、帰ぇんぞ。」


土方さんが、二人の間を割って入った。


流石、大人だね。
ヤバッ
トキメイちゃったよ…


「…スイヤセン。おい、花音。お前には、そのチャラ男が、お似合いですぜィ」


総悟さんは、捨て台詞を残して、土方さんの方へと行った。


あたしは、ただ呆然と
立ち尽くしていた。

「何だよ、アイツ。感じ悪ぃ」


『…ごめん。ヤな思いさせて』

「何で花音が謝んだよ。悪ぃのは、アイツじゃねぇかよ」


確かに、そうだ。


でも、蓮の事を彼氏と思われたくなくて、あたしのとった行動も最低だ…


「さっきの服、似合ってたしよ、男受け間違いなしだぜ。」


蓮は、気を使ってくれていた。


それなのに、土方さん達が、何を買うのかが、気になってしょうがない。


チラチラと様子を伺いながら、レジへと向かった。



帰りに寄ったサ店で、
あたしは、蓮の話に、上の空だった。


土方さんの買い物に、総悟さんが付き合わされてたようだったよな…


奥さんへのプレゼントかなぁ?


でも、あのショップ、若いコ向けだし…


って事は、奥さんって
若いの?!


「おいっ!聞いてんのかよっ!」


蓮の声で、現実の世界に呼び戻された。


『あっ、ごめん…』


あたしは、ジュルジュルと下品な音を立てて、アイスティーを飲み干した。


「…もうそろそろ、帰るか?」


『そうだね。今日は、ありがと。』


蓮ごめんね。

あたしから誘っといて、
気ぃ悪いよね…


でも
あたしも、まさか
あんな所で会うなんて、
思ってなかったんだよ。


だって、土方さんの事
頭から消そうと思っての
気晴らしの買い物だったんだから…





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