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三十路の第一歩




『あっ…』


「どうでィ?少しは、落ち着きましたかィ?」


そう言って、あたしの前にカフェオーレを置き、座った。


「あの夜、飲んでただろ?」


『あぁ…。覚えてたんだ…』


「だいたい、あんな時間に、あんな所で、泣きながら飲むって、酒が定番ですぜィ?それが、こんなもん飲みながら泣いてたら、覚えてもいますぜィ。」


『あは…そう言われれば、そうかも。』


いただきます。と言って、カフェオーレを一口飲んだ。

心地よい甘みが、脳を落ち着かせた。


『おいし…』


「それは、よかった。じゃっ。」


それだけ言って、出て行こうとしたので、


『あの…』


「何でィ?」


『ありがとう。』


「俺は、あんたが何者だって、別に構わねぇですぜィ。」


沖田さんは、ニッと笑って出で行った。


変な人達…。


もっと、冷たくしてくれたら、いいのに…


そう思うと、涙が零れた。


あたし、嘘ついてんのに。


心が痛い。



「苗字さん、今、いいですか?」


今度は誰だ?


『はい。どうぞ。』


「よかったら、お風呂でもと思って。」


人の良さそうな笑顔で入って来たのは、近藤さんだった。


『お…風呂?』


「ええ。疲れたでしょう?そんな時は、風呂にでも浸かってゆっくりしてください。今の時間なら、誰も入ってませんし。」


近藤さんは、ニコニコしながら、話している。


『でも…』


「心配だったら、俺が見張りに着きますよ。あっ、俺が覗きたいとか、そんなこと思ってませんからっ!」


ブンブン手を振って否定してるけど、そこまで言われると、逆に怪しいですよ…


『いえ、そうじゃなくて、あの…着替えとか、ありませんし…』


そう言うと、待ってたかのように、近藤さんから手渡されたのは、着替えだった。


「そう思って、実は買いに行ってたんですよ。」


とびっきりの笑顔で渡されたのは、浴衣と…



赤のTバックのパンティーとブラジャーだった…


「「何で、そんなもん買ってくんだーっ!!」」


あたしが言葉を発する前に、襖を蹴破り、近藤さんに、蹴りを入れたのは、


土方さんと、沖田さんだった…





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あきゅろす。
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