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三十路の第一歩




少し冷めた缶コーヒーを口に含み、ゆっくり飲み込んだ。


『あぁ…。これも、同じ味。』


なんだか嬉しくなって煙草に火を着けた。


『ヤッパ、疲れた時には甘いコーヒーと煙草よねぇ〜』


などとごちりながら足をブラブラさせて、ブランコに揺られていた。



そういえば…


初めは、膝に乗せてたよねぇ…


次に一人で乗れるようになって、あたしが背中を押してあげて…
 ¨ちゃんと、持ってなさいよ〜!¨
なんて、いいながら…


そして、気が付いたら立ちこぎしてたよねぇ…



『うぅっ…桜…桜…』


あたしは、空に向かって煙を吐いた。


「こんな夜中に、一人でブランコたァ、無用心でさァ」





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