三十路の第一歩 2 少し冷めた缶コーヒーを口に含み、ゆっくり飲み込んだ。 『あぁ…。これも、同じ味。』 なんだか嬉しくなって煙草に火を着けた。 『ヤッパ、疲れた時には甘いコーヒーと煙草よねぇ〜』 などとごちりながら足をブラブラさせて、ブランコに揺られていた。 そういえば… 初めは、膝に乗せてたよねぇ… 次に一人で乗れるようになって、あたしが背中を押してあげて… ¨ちゃんと、持ってなさいよ〜!¨ なんて、いいながら… そして、気が付いたら立ちこぎしてたよねぇ… 『うぅっ…桜…桜…』 あたしは、空に向かって煙を吐いた。 「こんな夜中に、一人でブランコたァ、無用心でさァ」 [*前へ][次へ#] [戻る] |