Silver Chain
12
人の気配を感じ取れた時には、すでに、暗闇は消え、
空が白みがかってきた頃だった。
「ふぅ〜っ。どうやら、町に着いたようだな。
…しかし、何なんだココは…」
俺の目に飛び込んできたのは、今まで見たこともない町並み。
見上げても、頂上が見えない程、高い建物。
俺は、まだ活動していない町を探索しようと、
一歩踏み出した。
「くっ…」
膝がガクッと落ちて、力が入らない。
ココに来てから、何か違和感はあったんだが…
どうやら、チャクラ量が減っているらしい。
コントロールするのも、木の葉に居るのとは、格段に難しい。
見たことも無い風景。
体の違和感。
異世界に来たのは、間違いないらしいね…
俺は、逸る気持ちを抑え、休めそうな場所を捜し、
人目の付かない木の上で、休息を取ることにした。
こんな時こそ、沈着冷静に…デショ
花音の顔が、頭に浮かぶ。
「もう5年も経ったんだよな…。どんな素敵な女性になってるんだろうね。
でも、見た目が変わっていても、絶対にわかるよ。花音のことなら…」
俺は、木の枝に腰を降ろし、目を閉じた。
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