Silver Chain
5
揉めていたのは、柄の悪そうな若い男数人と、若い女だった。
揉めているというより、絡まれているらしい。
『ちょっと、君達、女一人に、男が多勢なんて、みっともないと思わない?』
あたしの声で、男達がこちらを見た。
「うるせーなぁ!てめぇには、関係ねぇだろっ!」
一人の男が、声を荒げた。
『関係はないけど、見て見ぬフリって訳にもいかないのよ。』
「てめーっ!調子に乗りやがってーっ!」
声を荒げた男が、襲い掛かって来た。
あたしは、素早く印を結んだ。
…男の動きが止まった。
「くっ…どういう事だ。体が動かねぇ…」
あたしは、その男に、金縛りの術をかけたのだ。
その場が、一瞬、静まり返った。
沖田も、見守っていたものの、何が起こったのか解らず、近づいてきた。
「何をしたんでィ?」
『えっと…説明してる暇ないようです。』
他の男達が、襲い掛かって来た。
あたしは、また、素早く印を結んだ。
雷遁の術を使って、男達に軽く電流を落とし、痺れさせた。
男達は、動けなくなり、その場にへたりこんだ。
「だから、一体、何したんでィ!」
『説明してませんでしたね。あたし、忍だから、忍術使えるんです。
ちょっと電流落としたから、当分、動けませんよ。真選組に連絡して、引取に来てもらいますね。』
あたしは淡々と、沖田に説明した。
腑に落ちないような顔をして何か言いたげな沖田に背を向け、
あたしは、真選組に連絡を入れに行った。
その後、絡まれていた女に近付いた。
『大丈夫でしたか?お怪我は、ありませんか?』
「あっ、大丈夫です。ありがとうございました。ぶつかっただけなのに、絡んできたんです。
本当に、ありがとうございました。」
『いえいえ。これからは、あたしの仕事になるかもしれませんから。
では。』
意味が解らなかったのだろう。
女は首を傾げた。
あたしは、軽く笑みを零し、沖田の所へ向かった。
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