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Silver Chain




あたしが、真選組入隊を希望したのは、行方知れずの、あの男を捜すのが目的だった。


あたしに、光を与えてくれた男―――


  坂田銀時


あたしは、あの戦いの後、気を失い倒れていたところを幕府に拾われた。


そして、その頃、あたしの事が《黒い蝶》という名で、世に知れ渡っている事を聞かされた。

そんなあたしを利用しないはずがなく、お庭番衆の一員として、任務を命じられた。


与えられた任務を、黙々とこなす日々。


あたしは、ただ任務遂行をするだけ。
あたしの心は、木の葉に居た時のように、人を殺めることに、なんの感情も示さなくなってしまった。


そして、幕府が天人に降伏したと同時に、
あたしは職を失った。


そんな時、あたしを迎えてくれたのが、松平のおじさんだった。


職に就く為に、媚びを売る幕府の人間達の中で、
媚びを売る事をしない、あたしが気に入ったらしい。



仕事柄、桂と高杉と坂本の動向は、耳に入っていた。



ただ、銀時だけ情報がなかった。


かつて、白夜叉と名を轟かせた男の情報が入らないということは、


もう、この世に――


いや。絶対に生きている。


あいつは…
銀時は、そう簡単に死ぬような男じゃない。


そう思うと、あの頃のように人に触れ合う事が、恋しくなった。


と、いうよりも、こんなあたしを受け入れてくれるのは、あいつらしか居ない。



桂や高杉とは、違う道を歩いてしまった。


でも、銀時だけは、あの頃と変わらずにいてくれているような気がした。


真選組に入れば、何か情報が入るかもしれない。


表に出れば、会えるかもしれない…


あたしは、意を決して、真選組入隊を志願した。





「あぁ、あぁ。なんか、揉めてやすぜ。」


沖田がダルそうに言った。


数人の男達が、若い女を無理矢理連れて行こうとしていた。


『あたしが、行きます。』


「じゃあ、高見の見物とさせてもらいやしょう。」


あたしは、男達の方へ向かった。





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あきゅろす。
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