Silver Chain
6
外に出ると、何人かの侍が、雑談をしていた。
今日は、戦いには行かない日のようだ。
その中の一人に話し掛けた。
『あの…昨日、怪我して帰って来た男は?』
「あぁ、高杉さんか?
高杉さんなら、あっちで刀の手入れをしてたぜ」
『ありがと』
あたしは、教えてもらった方へ、足を運んだ。
寺の境内の縁側で、刀の手入れをしている高杉が見えた。
高杉も、あたしに気付いたらしく、手を止め
こっちを見てる。
『…傷の具合は?』
あたしは、少し離れた所から、声を掛けた。
「あぁ。少し痛むが
この通り、動ける」
そう言って、隣に来いと言うように
ポンポンと、床を叩いた。
あたしは、ゆっくり近づいた。
「ククッ…俺の方がお前を
警戒してんだがなぁ。」
そう言いながらも、少し微笑んだ。
あたしは、高杉の隣に腰を降ろした。
「俺はよぉ、お前の事
信用した訳じゃねぇぜ。けどよ、怪我治してもらったしな。
それに、銀時が、俺の目に狂いはねぇ。なんて言うからよぉ。…俺は、銀時の事は信用してるからよ…」
そう言って、刀の手入れを始めた。
あたしは、何も言えず
俯いていた。
それって、遠回しに
あたしのこと、信用してくれてるっこと?
高杉を見ると、何事もなかったかのように
刀の手入れを続けていた
…よく解らない男
「花音ーっ!花音ーっ!ったく、何処行きやがった。」
銀時が、あたしを捜しているようだ。
「ククッ…お呼びだぜ」
高杉の笑みは、暖かかった…
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