[携帯モード] [URL送信]

Silver Chain




目を覚ますと、今にも崩れ落ちそうな
天井が見えた。


寝ているのは、ワラに布を掛けた物の上。


…ここは、一体…―


「気が付いたようだな。」


黒髪で長髪の男が
傍らに腰をかけていた。


あたしは、咄嗟に起き上がり
クナイを構えた。


「心配いらぬ。お主が倒れていた所を、仲間が連れて来たのだ。
看病してやったのに、クナイを構えるとは…心外だな。」


その男は
あたしの鋭い殺気に
動じることもなく

フッと笑みを零した


…コイツ
   強い…―


『…倒れてた?』


「あぁ。銀時が言うにはここから少し離れた林の中の木の根元で、気を失っていたらしいぞ。」


気を失ってって…


確か、蓮を兄貴に任せて

木の根元に座り込んで

月を見て…


…――そうだ


あの時、月に手を伸ばしたら輝きが増して…


すっごく眩しくて


月に吸い込まれる感じがしたんだ…


そして、気が付いたら
ここに居て


あたしが、気を失ってた場所も


…―木の根元


と、いうことは、

あのまま、気を失ったってことなの?


でも、兄貴は、戻ってくるって
言ってたよね…


この男が言った¨銀時¨という者に、発見される前に
兄貴が、先に来るはず…


俯いて、考え込んでいると
声を掛けられた。


「…お主、今のクナイさばきといい、その格好といい、忍の者なのか?」


これは、尋問か?


でも、殺気は無い。
事実、助けてもらったうえに
粗末だが、寝床に寝かされていた。

それに、この男が、ここに居るのも
監視というよりも

本当に、看病をしていてくれたようだ。

男の横には、水の入った
桶と、タオルがあった。


正体を明かしても
いいものだろうか…


沈黙を破ったのは
男の方だった。


「これは、失礼。こちらから名乗らねばならぬな。俺の名は、桂。桂小太郎だ。」





[*前へ][次へ#]

2/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!