Silver Chain
3
俺は、花音の無事な姿を、確認できた喜びで、重傷の暗部の事など、すっかり忘れていた。
「あっ、あぁ。そうだった。こっちに来る途中で、テンゾウに会ったよ。
だいたいの話は、聞いてるカラ。」
『そう。桜華の具合は、どうだった?』
「傷は、たいしたことないって言ってたケド、気を失ってたようだったね。」
『気を失ってたーっ?!』
「まっ、見たところ、張り詰めた気が切れて、気を失ったってトコじゃない?」
『何で、ちゃんと話してこなかったのよっ!桜華が無事に帰還しないと、先に帰らせた意味が無いじゃないっ!』
ムキになった、あたしを見て、兄貴は少し驚きながら
「今は、言い争ってる場合じゃぁないデショ。
で、そこの暗部、どうナノヨ?」
兄貴は、横たわる蓮を指差した。
一刻でも早く、蓮を連れて帰らなきゃ。
でないと、桜華との約束が守れない。
それよりも、
桜華が決心した想いを
護れない…
あたしは、再度、容態を確認する為に、
蓮の側に行った。
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