Silver Chain 5 屯所に戻って、縁側に座って、銀時のことを考えていた。 土方も沖田も、銀時を捕らえようとしなかった。 と、いうことは、銀時が過去を隠しているって事。 攘夷活動をしている様子もなかった。 でも… 腰に差していた、木刀。 まだ、銀時の心の中には、武士としての誇りは残っているのだろうか… 気の抜けたような面構えは昔と変わっていないのに、 変わってしまった、銀時の気配。 きっと、町で何度もすれ違っていただろう。 けど、銀時の気配に気付けなかったのは 昔の銀時の気配を、全く感じ取れなかったから。 離れていた時間を、銀時はどう過ごして、どう生き抜いてきたんだろ… あたしの方を、一度も見ずに、逃げるように去っていった銀時。 銀時にとって、あたしという存在は、もう消えてしまったんだろうか。 消したい、過去なんだろうか。 『ようやく、見つけたのに…』 あたしの呟きは、誰に届くでもなく、風に揺れた木の葉音に掻き消された… 「おめー、万事屋と知り合いなのか?」 不意に、背後から降ってきた声。 あたしの横に腰を下ろしたのは、 土方だった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |