TOX
悩むア・ジュール王ガイアス/ガイジュ
「ジュード」
辺りをぐるっと見渡してみたものの姿は見えず、返事もない。
よくあることだから特に気に止めることはない。
「…ジュード」
「……、なぁに?ガイアス。呼んだ?」
遅れてから少しばかり高く、中性的な少年の声が聞こえてくる。
少年はちょこちょこ、と効果音がつきそうな足取りで相手に近付く。
尻尾をゆらゆらと揺らしながら。
─尻尾
少年には尻尾と、頭には猫の耳が存在した。
「いや、姿が見えなかったから呼んだだけだ」
「外にいたんだよ。天気が良かったから」
「寝ていたのか?」
「えっ」
「寝癖がついている」
ガイアスはジュードを引き寄せ、髪に触れたあと頭を撫でる。
ジュードは照れくさそうに笑うと、もっと、と言わんばかりに身をよじらせ擦り寄った。
「お前は本当に甘え上手だな。ジュード」
「えへへ。にゃあ〜」
─…
「という夢を見たんだが…今から、どうすれば奴に猫耳を生やせるかを話し合いたい。ウィンガル、プレザ」
「医療院に行きましょう」
「ほう。最近の医療は人に獣耳を生やせるのか」
「いえ、診て貰うのは貴方です」
すっかり天然ボケキャラになってしまった陛下。
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