紫陽花 4 ベットから身を起こして手探りで宙を探す。手に触れた紐を引けば、室内に光が溢れた。 まぶしさに目を細める。 そのまま見上げた恵ちゃんの髪はすっかり濡れていた。Tシャツも水を吸って濃い色に変わってしまっている。 だけど、それ以上に。 長い足を組んで佇むその姿は、顎や首筋を伝う滴とあいまって… はっとする程に凄絶な色香を纏っていた。 「慈雨?…まだ眠いのか?」 なんだか。 全てが恵ちゃんのために存在しているような気がしてならない。 ゆったりと近づいてくるだけの動作でさえ、信じられないくらい綺麗なのだから。 「慈雨…?」 「…え、? あ、ごめん、もう眠くないよ。 ただ…やっぱり恵ちゃんってかっこいいなぁー…と。」 ごまかすように笑ってから、男の僕が言っても微妙だけどさ、と付け加える。 ずっと一緒にいる僕でさえ見惚れてしまうなんて…君はほんとに恐ろしい人だよ、恵ちゃん。 [*前へ][次へ#] [戻る] |