紫陽花
5
土砂降りの帰り道。
「…けいちゃんっ、」
ざあざあと降る雨に負けないように、隣を歩く幼なじみに聞こえるように、大きな声を出した。
「ん?」
「…ありがと!!」
「…どういたしまして。」
雨の中に並ぶ、ふたつの傘。
「けど、明日は晴れたらいいねー。」
「…それは明日にならないと分からないな。」
雨は強くたたき付け
風が吹き荒れて
雷鳴が、どこかで低く轟く
何も変わらぬ理と
次第に変わりゆく日常
その変化の兆しを僕達はまだ、知らなかった。
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