紫陽花
2
「ええっ、2時間も…!?
ごめんっ。
…今度からは先に帰ってていいよ?」
本当はちょっぴり寂しいけど…そんなに待たせるのは良くないよね。
だけど、
「いや、別に構わない。」
さらりとそう言って恵ちゃんは微笑んだ。
うぁあ…
…やっぱりかっこいい。
「…ありがとう、」
なんだか恵ちゃんが綺麗過ぎるから、視線をさまよわせて窓の外に目を向けた。
「わ、…雨。」
ざあざあと窓に打ち付ける雨は、全く止む気配がなさそう…。
そういえば朝、時間なくって天気予報みるのすっかり忘れてたよ。
…やられたー、思わぬ失敗だ。
ぺたりと冷たい窓ガラスに額をくっつける。
ひんやりして気持ちいい。
「うぁー……」
だけどそんなことをしている暇もないみたいだ。
暗さで鏡のようになった窓ガラスごしに、時計をみやる。
…7時15分。
完全下校時刻で警備員に閉め出される時間だった。
「ん、…仕方ないや。
けいちゃん、ぼく走って先に帰るね。
待っててくれたのにほんとごめん。」
かなり手強そうな雨音だけど…大丈夫、僕は丈夫なんだから。
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