[携帯モード] [URL送信]

紫陽花
4

それにしても恵ちゃんはすごい。

恵ちゃんが一歩踏み出すたび人々が道を譲る。

賞賛、憧憬、思慕…向けられる生徒達の熱の篭った眼差し。

それらをまるで空気のように捌き、一切表情を変えず歩いてゆく。


…とてもじゃないけど、僕はそんな中を歩けないよ。

だから、恵ちゃんとはここまでだ。


恵ちゃんと離れた僕は、あまり目立たないよう人混みを抜け、ゆっくり靴箱に向かった。

少し寂しくもあるけど、あんなに見詰められながら歩けないし。


ただでさえ幼なじみで、登下校一緒で、クラスも一緒なんだからさ。
…そりゃあ、恵ちゃん信者からしたら腹立たしいだろう。

僕がいたら話しかけられないって怒るし。

…人の恋路は邪魔しちゃ駄目だよね。

[*前へ][次へ#]

15/23ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!