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紫陽花
6

布団なんて、要らない…と耳元で繰り返す声は低く心地よくて。

いつの間にか着替えてベットに座っていた恵ちゃんに引かれるまま、ふたりしてベットへ倒れ込んだ。


「…一緒に寝よっか。」

抱き込まれ、あやすように言われても逆らう気力もなくて。


普段通りに振る舞っていても、いかに自分が弱っていたか実感した。



彼の胸の心臓が刻む、命の鼓動と。
背に回された、確かな腕にひどく安心して。

知らず知らずのうちに張り詰め、ぬくもりを求めていた何かが。

そっと、緩んでくのがわかった。


何にも言わないけど、側にいてくれる。


「けぇちゃ…ん、」

名前を呼べば、優しく髪を撫でていた手が止まった。

「…ん?」

何にも聞かないけど…恵ちゃんは、知ってると思う。




雨が好きな僕が、どこかで雨を怖がってることを。


ひとりきりの雨の日には、浅い眠りしか訪れないことを。



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あきゅろす。
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