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ゆめ
ファーストコンタクトF


『ごめん、ツー君!先行くね』


「あ!まあや…!!」


最近まあやが冷たい。
学校が終わったら直ぐに黒曜へ…というか、骸の所へ行っちゃう
勉強の為、ていうのはわかる
理解はしてるんだよ!
だけど、帰り道くらいは一緒に帰りたいよ!!
途中までは方向一緒なんだしさ


授業終わって、帰りのHRが終わると誰よりも先に教室を出て行く

"ツー君先行くね!"て走っていっちゃう……。
そんなに骸が良いか!!!
まあやのばか!!


……なんだか淋しさを感じる


獄寺君と山本と一緒だから一人で寂しく下校は無いけど、やっぱり淋しいよ、まあや


遠くへ行っちゃう気がして…





心がポッカリした気分のまま、家の玄関を通る

「ただいま〜」

と気の無い声を出したらパタパタと足音がリビングから聞こえてくる

「母さんただいま」と続けようとしたけど、リビングから出てきたのは、もふもふのひつじスリッパを履いたまあやだった


『ツー君お帰りなさい』


「まあや!?え?えぇ??!なんで、ここに?!」


『どうしたのツー君。なんかおもしろいよ』



ころころと表情を転がして笑うまあや
あ〜なんだろう!
今とってもしあわせだ、オレ!!!



『今日ねケーキ買ってきたの。リビングにあるから皆で食べよ』


「ホント?!やった!食べる食べる!!」


『今お茶の用意してるの。ツー君は手洗いとうがいをしてから来てね』


「うん!!すぐ行くから!!!」


それからのオレの行動は速かった。
鞄をぶん投げるように部屋に置いて、洗面台で手洗いとうがいをして。
母さんとまあやがいるリビングへ行った。



リビングに入ると母さんが優しく迎えてくれた



「ツッ君お帰りなさい」


「ただ今、母さん!」


『はいツー君のケーキだよ』


「ありがと、まあや!!」


「お帰りなさい、綱吉君」


「ただいま、むく……!!!…………ちょっと待て…………」















ファーストコンタクトF
















「なんでお前が家のリビングでくつろいでるんだよ、六道骸!!」


「いやですね。まあやさんにお呼ばれしたからに決まってるじゃないですか」


「んな……;まあや!!」


『骸さん、紅茶のお砂糖はいくつですか?』


「2つで。」


「まあや〜〜〜〜〜;;;;;;」





さっきまでのしあわせな気分は一気に崩れ落ちた……
まあや…無視しないで;;



「クフフ…」



……コイツ!!!
何だ今の笑いは!!!
骸はオレを見てニヤリと笑った

殴りてぇ…!

家のソファーで長い足を組んで優雅に座る六道骸
ちくしょう、妙に様になってるからムカつく…!



『ツー君、紅茶のお砂糖いくつにする?』



まあや…!!
まあやがキッチンから顔をひょっこり出して、オレに!オレに!!聞いてくる!!!



「まあや、オレは1つ、かな?」


『うん、わかった』


「ありがとう、まあや」


『うん!もうちょっと待っててね』



にこりと笑うまあや
天使だ……家に天使がいる
いつまでも待つよ…!

まあやの笑顔で癒されるオレ、単純だな〜はは


「はぁ〜〜〜…」


ほっこりと、ぽかぽかと暖かい気持ちになる
オレは今、だらし無いくらいに顔が緩みまくっているだろうな…



……買nッ!として、オレはソファーでくつろいでいる骸を見る





……ニタリ…










…ひぃっ;;;!!!


骸はさっきよりもどす黒い笑みを浮かべてオレを見ていた
ヤバイ!
その笑顔はヤバイ…!

そして奴は速かった



「まあやさん、手伝いますよ」



まあやーーーーーーーーーー!!!!!!



『あ、ありがとうございます骸さん。でも骸さんはお客様だからゆっくりしていてください』



そうだ!
お前はソファーでジッとしていろ!!



「そうはいきません。女性にだけ働かすなんて…。是非やらせてください」



お前さっきまで堂々とくつろいでただろが!



「あら、素敵。むっ君は紳士なのね。」



母さん!紳士はあんなどす黒い笑顔しない!しないから!!



「でも、後は運ぶだけだから。まあやちゃんとむっ君は座って待っててちょうだい」


『そう?』


「すみません奈々さん。では、お言葉に甘えて。行きましょうかまあやさん」



むっ君!?
奈々さん?!

いつの間にそんな仲良くなっちゃってるの!!

ああ〜〜〜モヤモヤしてくる!!


キッチンからまあやと骸が……………骸ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!



骸はまあやの肩に手を回して、二人で並んで出てきた
またそれが様になってるし…!
ダメ!!
近い、近すぎるよまあや!!!
危ないから離れて!!!



なのに、目の前のパイナップルはオレの心中を察したのか、更にまあやの肩を自分の方へギュッと引き寄せた

どす黒い笑みをオレに向けながら…!!


ぐぅああぁああぁああ……!!


まあやは骸の真意が解らないのか、頭にクエスチョンを浮かべて骸を見上げた
骸もまあやが自分を見たのに気付いたらしくまあやを見た



でもその距離は……
近い!
近い近いちかーーーーーい!!!



顔が近すぎ!!!!!



まあや逃げて!!
頭からパイナップルの悪魔にペロリと丸呑みにされちゃうよーーーーー!!



「おや、まあやさんまつげにゴミが」


『え;本当ですか;;』


「僕がとってあげますよ。しばらく目を閉じててください」


『はい。ありがとうございます』



はぁ?!
骸…それはマジか!?
絶対嘘だろ;!
今、骸から吐かれる言葉が全て嘘に聞こえるのはオレだけなのか?!


まあやは骸に向かい合う形になって素直に目を閉じ……ちゃダメーーーーー!!
身長差があるから必然的に上を見上げてるまあや
目を閉じて待っているその様はまるでキスを待つ恋人のようだった


骸は無防備なまあやにゆっくりと顔を近づけ、…ちょっと待て何故近づける!!
骸の手がまあやの顎を捕らえてどんどん近づく


……!!!!!


ちょっ!
ま、まさか……;!!!


骸はまあやからチラリと視線だけをオレに移し、



……にたり




笑った。



んっなななななななななな;!!!!!!!

やっぱり嘘かーーーーー!!!

って、ちょっ待て待て待て!!
それだけは、マジで待て骸!!



ストップストップストーーーーーーーーーーップ!!!!















クフフフフ…


骸は心中ではそれはそれは、とても楽しかった

むしろ大爆笑だ

綱吉の反応が一々おもしろい

まあやに対するのは兄というより、父親というカンジだ
何とまあ、からかいがいのある事だ
表情がまるで隠せてない
隠す気がないのかもしれないが。
僕をまあやについてる害虫だとでも言うような定番の父親象だ

"娘はやらんぞ!!"と言われてるような気になる

彼は将来親バカ決定ですね

娘が生まれたらさぞかし大変な事になりそうだ

クフフフ……

しかし、あまりからかい過ぎても可哀相だ
そろそろ辞めてやるかと思った
奈々さんもキッチンにいる
いくらなんでも、彼氏でもない男に娘がこんな事をされてる光景をみるとショックだろう……


僕は未だ素直に瞳を閉じた状態のまあやに、静かに語りかける



「まあやさん」


『…はい?』





お互いに近い距離だからか…
それは自分でも驚く程に吐息が混じった呼び声だった

まあやの方も…無意識だろう




「取れましたよ。もう目を開けて大丈夫ですよ」


『はい』



骸の声に反応してゆっくりと目を開けるまあや
骸は静かにそれを見つめていた
まあやの朱色混じりの琥珀色の双方が骸を映した
明らかに近い、距離で
鼻と鼻がぶつかりそうだ




ふっと瞳を緩めて骸に笑みを向けるまあや




『ありがとうございます、骸さん』



「!!」



近い距離
近くで動く小さく艶やかな唇
そこから吐息混じりに告げられる言葉



…ゾクッ!!



一瞬だった
背中を走り、頭に伝った衝撃
息が止まり呼吸を忘れる程の、甘い痺れ




「いえ…」




骸はパッと手を離した
まあやはさして気にもせず、パタパタともふもふのひつじスリッパでリビングへ歩いて行く

綱吉が
"まあやーーーーーーーー!!!"
と泣きながらギューと抱きしめる

彼の涙腺は既に決壊している
ボロボロ泣く綱吉をまあやはあやすように頭をなでなでしている

何故泣いてるのかは解らないみたいで
"ツー君どうしたの!?"
と必死なまあやの声


だが、今の骸にはどれもフィルターがかかったかのように遠くに感じる

ただ一瞬走った自分の思いが信じられなかった










あの瞬間





――ありがとうございます、骸さん



まあやの唇に…



――骸さん
























…キスしたくなった…なんて…

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あきゅろす。
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