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始まりは二カ月前。H


−−−そして今。


「はぁ…、」


今思えば何て自分は人に流されやすい奴なんだろうか…。

あんな臭いセリフを言われ…あんな真剣な眼差しでみつめられ…、

それだけでノックアウト…か;


「恐るべしサド理事長…」


そう思っている間にコンビニで買っておいたお弁当を食べ終え新しい制服をセッセと着始めていた。


「あれっ・・おっかしいなぁ」


なにやら苦戦をしている俺の手にはネクタイがグシャグシャに結ばれていた。中学の時の征服は学ランだったため一度もと言っていいほどネクタイにはご無沙汰だったので結び方が分からないのだ。


「仕方ない・・・よな;」


何度か結び直した中で最も出来のよかったと思った形になったところでようやく着替えが完了した。しかし出来が良かったと言っても他人から見ればグシャグシャには変わりないほどの出来だった。


「やべっ!もうこんな時間かよ!」


腕に巻いた時計を見ればもう入学式の三十分前だった。

急いで玄関まで走り靴を履こうとしたが、靴を履いている最中に焦りすぎたせいでバランスが崩れ扱けそうになってしまった。ギリギリのところで近くにあった手すりにつかまり何とか新品の征服には泥が付かずにすんだ。


「よ、よかったぁ・・・;」


と呟き履き途中だった靴を履きなおし、玄関のドアノブに手をかけた。少し扉を開け、最後にもう一度だけ今まで住んでいた部屋を見渡した。

その部屋はもう家具物はなく初めて来た時と同じような風景があった。けれど同じような風景でも今と初めの時とは全くと言っていいほど俺には違って見えた。


そして俺は大きく息を吸い込み・・・・





「今まで・・・・本当にお世話になりました!!」





自分の精一杯の感謝の気持ちを短い言葉で部屋中に行き渡るような大きな声で吐いた。






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