《I-2日目-》
チュンチュン...
鳥の囀ずり…。
朝日が眩しい…………
あ、そうか。
昨日は俺と先生 ソファーで寝たんだっけ。
むくり、と身体を起こして。
ふと、床を見ると ゴロンと先生が寝ていた。
…一家の主なんだから…。俺を床に蹴落としてでもソファーで寝れば良かったのに。
まぁそんなことやるような人じゃないもんな。
でも主が床で寝てるなんて…。
はぁ、と短く息を吐いて、俺の上に掛けてあった毛布を先生に掛けてあげた。
ついでに赤いきれいな髪を指で鋤いて。
ふと、昨日の事が頭を過った。
あれから…
「紅ってネコだったんだ」
そう言って寝室に戻っていった悠一。
それを「え?」と言う感じで見送ってる大人一人と若者一人。
「……ぅんと…。聞き間違いだよね」
『うん。そうそう!
あんな子供が紅をみて"ネコなんだ"なんて言うはずないってぇ!聞き違いだよ!オレらの』
「そーだよね!俺らの!!あはははっ………………。」
「無理だよ…。俺にはこのテンションキツい」
『だよね、ごめんよ』
あの悠一の一言が気になりすぎて。
つか、ショックを受けたと言うか。
行為と言えば、とりあえず最後までヤったけど、どこか気分的に変で…。
そのままソファーで寝てしまい、今に至る。
「はぁ……会いたくねぇなぁ…あいつに」
どんな顔して会えばいいのだろう。
いっその事開き直って、
「悠一、ごめんねーっ!昨日はちょっと取り込み中でさぁ!!じつは俺がネコなんだぁ♪」
とか………。
…絶対無理!!!!
このテンションでいることがまず無理!!!!
俺がこんな感じだったら気持ち悪ぃだろ……。
はぁ…嫌だわぁ…。
♪♪─♪──♪♪
俺が物思いに耽っていると、俺の携帯が鳴った。
この音は…電話か。
どれ、着信は…
……紅葉っ!
<ピッ>
《よーっ!紅ちゃん!おっはよ──ぅっ》
「…おはよう。ウザいよ、そのテンション」
《ぅっわぁードギツイ一言!!!ご機嫌斜めかなぁ?》
「その通り。」
このやろう。
昨日悠一を無理矢理俺に押し付けて逃げやがったくせに
ノコノコと電話してきやがるとは良い度胸じゃねぇか!
と…。
怒りたいのは山々なんだかな。
今はなんか怒る気分じゃねぇ。
《へぇw悠一となんかあった系?》
「……あったよ。色々と…」
《何々!?何があったのさぁ─☆》
はぁ…、とため息を吐いて。
「…………見られた……」
《んー?何を?》
「……………ヤってるとこ………。」
《あっちゃぱぁ…見られちゃったの、先生とのSEX》
「…あぁ。
……俺は…どんな顔してアイツに会えばいいんだよ」
今、その悩みで頭いっぱいだ。
妹や弟もいねぇし、
子供の面倒なんて、見たこともねぇ俺にはどうしたらいいかわからない。
だから、あんな処を見られてどんな風に接したらいいか…。
《うーん…、普通にしとけば?》
「…あ…あぁ……。」
普通…が今わかんねぇ。
果たして今の自分が普通なのかすらもわからない。
《何してたのっ?って聞かれたら素直に答えれば良いだけだよ。紅から話を振る必要はないよ─》
子供は好奇心旺盛だけど、忘れるのも早いからさー、
なんて結構失礼な事を言ってる。
……でも確かに、俺から話を振る必要はねぇな…。
もしかしたら忘れてっかもしんねぇし…、
聞かれたら答える…、ねぇ……。
それから適当に紅葉と話して、通話を終わらせた。
(…話す前よりは気持ちが楽になったかも)
ふぅ、と息を吐き出して。
「頑張ろ、」
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