短編置き場
叶えられなくてごめんね 3
本当は今でも明確な理由が見つからない。でも別れなければ、と強く思った。消耗するばかりで、幸せになれる感じが少しもしなくなってしまったから。
けれど、好きだった。好きだったのに。
ぼろぼろと今度は自分が泣き出していた。
(もう、泣いてもいいでしょう?)
心の中で、問いかける。
(ごめんね)
(たくさん、傷を付けて)
そうでなければ、終われなかった。
(ごめんね)
(誰かと幸せになってね)
こんなに冷たい女のことは、早く忘れてしまえばいいから。
(ごめんね)
(約束、)
(守れなくて)
来月の誕生日、一緒に迎えられなくて。
(ごめんね)
(約束、)
(守れなくて)
……ごめんね、
ずっとずっと、好きでいられなくて。
ずっとずっと、一緒にいられなくて。
ごめんね。
鬼はもう、終わりにしよう。
私は、優しかった、好きだったあの人のために、そしてあの人との優しい思い出のために、ゆっくりと、ゆっくりと、泣いた。
泣きつかれて、眠くなるまで。
20090110
……、予想外に痛々しい小説になって、非常に自分でもびっくりしています…はい。
別れは、難しいですよね。上手に優しく、別れられるだけの技量が、あればいいのですけど。
お題:確かに恋だった様
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