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心惹かれて百色万華鏡(島崎)
島崎もうすぐ誕生日だね、と、あたしは言った。そう言った自分が今日は誕生日だっていうのに。島崎は目も上げずに、そうだな、とだけ答えた。
島崎は、今まで部活ばっかりだったから、と、名簿の整理を手伝ってくれていた。教室で二人きりのシチュエーションになんとなく帰りがたくて、うだうだと無駄話を続けるあたしに、島崎はなんとなく付き合ってくれてた。
所詮三年間片想いで終わる恋だ。あたしはそう思う。玉砕覚悟で行動するのも潔いけど、そんな勇気すらない。だからどうせならなんか記念が欲しい。それで優しく潔く諦めるのもいいなと、一瞬、欲が出た。