企画小説 お別れ会のプレゼント 1 大きな紙に、油性ペンで書かれたあみだくじ。 黒板には、五年生になってもがんばろうね、って書いてある。 300円の決まりの中で選んだプレゼントは、100均で買った毛糸で編んだマフラーで、それは、おんなのこにはちょっとつかいにくいかもしれない、グレーと、茶色と、黒の、太いストライプ。 ピンク色の紙で、いっしょうけんめいつつんだけれど、わたしにはうまくできなくて、まるでピンクの岩みたいにぶかっこうで、しかも、そこに8って数字の書かれた紙が貼られて、余計におかしな感じになってた。 みきくんに、8番があたりますように、ってあたしは思うけど、あみだくじだから、どうなるかはわかんない。 みんながひとりずつ線の上に名前を書いて、線をたしてく。最初のうちは、みきくんが8番になるように、線が書き足されるたびにみきくんの名前から線をたどって、どこにどう自分が線を足したらいいのかなって考えていたけれど、どんどん増えていく線に、あたしの頭は間に合わなくなって、あたしはそれをあきらめた。 ああいうの、見ただけでわかるような天才だったらよかったのにな。そしたらあきらめずに、なんとかしてあのプレゼントをみきくんに渡すのに。でもあたしは天才じゃないから、あきらめるしかないのだ。 でも、あみだくじに名前を書く順番が早かったら、こんなこと気にしなくてよかったのにな。 [次へ#] [戻る] |