泰権連載
2
しばらくは熱のせいで身体が思うように動かせなかった。

その間世話をしてくれたのは目覚めた時居た男ではなく、その男の妻だという女性であった。
「あんた名前は?」
「周平・・・です」

女性は軽く笑い自分の名は珠香だと名乗った。
珠香は落ち着いた少し大柄な女であった。


幾度か会話を交わし、どうやら此処は江賊の砦なのだと理解出来た。
江賊とはいえ、助けられた事に違いはない。

助かったのだと実感し、兄を想った。

探してはいないだろうか?
心配をしてはいないだろうか?
この場所に辿り付けるだろうか?

段々と不安が募る。
こんな乱世だ、生き別れたらもう一度巡り会うとは限らない。

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あきゅろす。
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