泰権連載
5
凪の朝、周泰は船の傍らにいた。
今日は船を出す予定だったが、生憎の風で出発する事が出来ない。
演習はやむを得ず中止になった。
だがここ暫く、新しい船の操舵や軍の隊列及び戦略などを習っていて、刀に触れる機会が無かった為、久しぶりに刀を振るっていた。
今は孫家の軍が支給している刀を振るっているが、やはり使い慣れた弧刀の方が周泰には合っていた。

半刻程経っただろうか、刀身を鞘に納め休憩をしようとした周泰に聞き慣れた声が聞こえた。
「よう周泰!」
振り返り声の主に視線をやれば、最近よく見る顔がそこに在った。
「・・・・・・孫策様」
今日は変わった場所で出会ったなと思い、いつも出会う場所の方が変わっている事に気づく。
周瑜殿や大喬殿と居る事もあるが、孫策は大抵は一人で行動していた。
孫策が一人で出歩くのは周泰の中で既にいつもの光景とかしていた。

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あきゅろす。
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